Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
【目的】本研究は,筋硬度変化の生理学的機序について検討するため,循環要因を除いた筋組織の硬さ要素に着目し,カエルの摘出筋を用い筋の張力変化と筋硬度の関係を調べることが目的であった.前年度は伸展・収縮時の筋張力と筋腹への垂直押圧時の反力との関係を検討し,筋張力の増加に比例し筋硬度が増加した.このことは,筋の長軸方向の生理学的変化が,筋硬度増加の一要因となることを示している.今年度は,さらに筋疲労時の硬度変化について検討した. 【方法】1.摘出筋:ウシガエルの腓腹筋を神経筋試料作成手順に従い摘出しチャンバ内に固定した.2.筋硬度測定:機械刺激装置(DPM-280 ; Diamedical System Co. Ltd)による筋腹への押し込み反力計測.3.疲労作業時の筋硬度変化:予め計測した最大収縮力の20,40,60%の負荷を引き上げる作業を疲労状態まで行った.各作業は,duration=10msecの矩形波をinterval=20msecで5発連続する刺激により,負荷を1秒1回の頻度で反復させた.引き上げの移動距離を変位計にて計測し,引き上げ高が0になる時点まで続けた.作業前,直後,作業後10分間の回復過程の押し込み反力を計測した.作業前,直後,作業後10分間の回復過程の押し込み反力を計測した. 【結果と考察】疲労実験後には筋硬度の増加が認められず,20,40,60%の負荷条件間においても差はなかった.一方,ヒトin vivoにおける疲労作業後の筋硬度は顕著な増加が報告されている.また,伸展・収縮時の実験から,筋張力の増加に比例し筋硬度が増加し,筋の長軸方向の生理学的変化が,筋硬度増加の一要因となることが考えられる.従って,筋組織要因の検討を考慮した本実験条件下で,疲労状態にあっても筋組織に静止張力を増すことに貢献する様な筋実質の変化はなかったと考えられる.先行研究の示す,ヒトにおける反復作業後の筋硬度増加は筋収縮に付随した他の要因により強く依存する可能性があり,刺激様式の検討や循環要因による硬度変化の可能性について知ることが今後の課題である.
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