自然環境情報を導入した山地流域における水源水質の変動予測に関する研究
Project/Area Number |
12780069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
自然地理学
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小野寺 真一 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50304366)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 水質形成 / 渓流水 / 化学的風化 / 流出経路 / 酸性雨 / 降水量 / イオン交換 / 山火事 / 山地流域 / 酸性化 / 重金属 / アルミニウム / 珪酸 / 流量 / pH |
Research Abstract |
本研究では、山地流域における水質形成機構を明らかにするため、関東山地、中国山地に設置した試験流域において、季節的な水質変動、降雨イベント時の河川流量及び水質変化、土壌の化学性の変動をモニターした。その結果、関東山地では温度変化にともなう酸生成過程及び酸緩衝過程の変化を確認し、土壌化学過程及び湧水水質に及ぽす標高の影響を明らかにした。また、地質による影響としては、関東山地で花崗岩類と堆積岩類の2つの小流域で降雨流出過程が異なることを確認し、また、中国山地の降水量の異なる2地域で湧水水質の空間分布を確認し、降水量が2000mmに達する地域では地質の水質に及ぽす影響が1000mmの地域に比べ小さいことを明らかにした。さらに、中国山地の花崗岩流域では、降雨にともなう流出経路の変化を確認した。各流出成分は各経路を構成する土壌の吸着成分およびそこでの風化・分解成分により決定していることが示された。特に、酸性土壌が分布し土層が薄い山火事流域では酸性雨の量に応じて金属イオン成分が大きく変動した。山火事流域では20mkm程度以下の降水量時には地下水成分によって渓流水質が形成され主要塩基が流出した。それ以上の降水量で表層経由の成分が増大し始め、主要塩基類が欠乏しAl及び微量金属イオンが流出した。100mm以上の降水量で斜面上方まで表層の飽和帯が拡大し、Alの流出量がそれ以外の成分より1オーダー以上も増大した。一方で森林流域では40mm程度までAlは流出しなかった。また、土壌中では、吸着帯塩基量が変動し、化学的風化が酸性雨による塩基消費に追いつかない状況が確認できた。以上のように、源流域での水質形成に及ぽす降雨流出過程、酸性雨、温度、山火事の影響が明らかになり、自然環境情報(地形・標高、地質、植生、降水量)をもとに源流域の水質形成を予測することが可能になった。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)