Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
シンファイア・チェーンの理論的解析においては従来,ニューロンモデルとして積分発火モデルが採用されており,確率的動作の源として背景雑音入力パルスが利用されていた.すなわち,各ニューロンは前層のニューロンからの入力パルス群(パルス・パケット)だけでなく,周辺のニューロンからランダムなパルスを受けることが仮定されていた.このようなランダム性を仮定しない場合には,ニューロンは決定論的に動作し,層内のすべてのニューロンは同一の動作をし,入力パルスが閾値より大きければパルスを発火,そうでなければ何も起こらないという,単なる閾値機械として動作する.時間符号化層状モデルに確率的要素を導入する方法は,ランダム入力パルスだけではない.本研究ではランダム入力パルスの代わりにニューロン間のシナプス伝達の所要時間(ディレイ)にランダムネスが存在すると仮定し,コインシデンス・ディテクタ・モデルを用いた場合のパルス・パケットのダイナミクスについて,理論と計算機実験の両面から研究を行った.その結果,ランダム入力パルスを与えた場合とほぼ同等の分岐現象がみられることがわかった.また,同一層内のニューロンは同一の入力ニューロンを共有しているため,それらの動作には相関がある.前述のすべてのニューロンが同一の動作をする例はその極端な場合であるが,本研究での理論的な解析により,ディレイの分散が十分大きい場合にはその影響は無視できることがわかった.ランダム入力パルスを受ける積分発火モデルでは,ランダムパルスの作る内部電位の分布がパルス・パケットのダイナミクスに影響を与えることが知られているが,ディレイの分布がダイナミクスにどのような影響を与えるか,またコインシデンス・ディテクタ・モデルと積分発火モデルの違いについては今後のさらなる研究が必要である.
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