環境資源の仮想評価法(CVM)の評価バイアス問題に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
12780430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
環境保全
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
鄭 躍軍 統計数理研究所, 領域統計研究系, 助手 (80280527)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 環境評価法 / CVM / CVMのバイアス / 付値方式バイアス / 支払手段バイアス / 二項選択方式CVM / 標本調査 / 東京湾埋立地 / 環境の経済評価法 / 仮想市場の設定バイアス / 二項選択式CVM / ダブルバウンド二項選択式 |
Research Abstract |
2年計画の2年目には1年目に収集した標本調査データに基づき仮想評価法(CVM : Contingent Valuation Method)に関わる支払手段、付値方式などによるバイアスの特徴を中心に検証した。また、CVMの評価結果の妥当性と信頼性を高めるための方策を総合的に考察した。 まず、一段階DC方式と二段階DC方式のWTPをパラメトリック法(ワンブル分布)とノンパラメトリック法(ターンブル法)によって推定した。その結果から、付値方式の二項選択方式を、一段階にするか、二段階にするかによって、二段階方式を用いたWTP推定値の効率性が優れていることが明らかになったが、付値方式のWTPへの影響方向については一定の方向性はないことが示唆された。たとえば、ワイブル分布によるWTPの推定結果から分かるように、基金方式と全体データにおいて、二段階DC方式を利用した方が一段階DC方式よりWTPの平均値が小さくなっているが、税金方式において、逆に二段階DC方式の方が一段階DC方式より大きくなっている。 また、ターンブル法とワイブル分布のいずれでも計算した結果、WTP平均値の推定値については税金方式の方が基金方式より大きいことが明らかになった。全体にはパラメトリック法より、ノンパラメトリック法の当てはまりがよいと言えるが、両者のWTP推定値には大きな差が見られなかった。つまり、税金方式によるWTPが基金方式によるWTPをかなり上回るという結果が得られた。これにより、一段階方式と二段階方式において、ともに支払手段バイアスの存在が確認された。実際の問題としては支払手段による評価バイアスについて十分に検討した上で、WTPの推定結果を慎重に解釈する重要性が実証された。このような結果となった背景としては(1)欧米諸国に比べ、日本では寄付行為に対する社会的評価がまだ低く、基金方式に対するWTPを低める可能性があること、(2)日本人は一定のルールに従い、公平性を追求する性格があり、基金方式よりも税金方式の方に真のWTPを答えやすいとの2点が考えられる。また、日本人は確かに「基金方式」に対する倫理的嗜好性をもつが、「税金方式」をより信頼性の高い支払手段として認識する傾向があり、「税金方式」のWTPの方が高くなると読み取れば説明がつく。 本研究の成果について環境経済・政策学会、日本統計学会、日本林学会などの学会にて発表したが、総合的な成果が研究リポートとして取りまとめられ、公表されている。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)