Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
光トポグラフィーという近赤外分光法を利用した脳機能測定装置を用いて,新生児〜乳幼児期における脳機能発達過程を調べることを目的とした。 近年の非侵襲計測技術の進展にともない,主に成人で脳機能の測定および画像化による研究は多くの成果をもたらした。しかし,脳機能イメージングにおける新たな課題のひとつは動きによるアーティファクトをいかに抑えることができるかであるともいわれている。これは,従来の非侵襲型装置の特性として,脳賦活にともなう内因性物質の生理学的動態を敏感に感知するようにつくられているため,実際には不要な動きによるノイズまで測り込んでしまうところにある。従って,覚醒条件下にあるサルや命令に従うことのできない新生児〜乳幼児では非侵襲的脳機能イメージングは困難であるとされてきた。今回,われわれが用いた近赤外光測定のプローブは頭皮上に直接固定する型のもので,低拘束性となるため,被験者の動きにある程度まで耐えうる利点を有している。さらに,脳波・誘発電位などの測定と異なり,周辺の電場環境が測定に及ぼす影響は殆ど無視できる。 本研究では,分娩直後の新生児を対象に自然睡眠下で光ダイオードの点滅刺激に反応する脳の一次視覚領野での局所脳血流動態を測定した。本学の倫理委員会での承認を得て行われたため,研究の構想から実際の測定結果が得られるまでに時間を要した。準備段階での初期研究として,視覚・運動・言語・作業記憶などの機能刺激による成人での皮質反応を調べ,結果を第31回日本臨床神経生理学会,第3回ヒト脳機能マッピング学会および第7回OHBM(ヒト脳機能マッピングに関する国際学会,於英国)で発表した。全国的に初めての試みとして新聞紙上で取り上げられることもあり,期待の寄せられる分野であるとも考える。 今回の研究成果としては,一次視覚野での神経-循環動態反応のパターンが生後間もない新生児期においては成人と大きく異なることが分かり,これまでの霊長類における電気生理学的研究による知見と一致することが確認された。
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