Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究ではアカハライモリの神経網膜再生過程をモデルとし、そのうち非神経細胞である色素上皮細胞が分化転換により神経幹細胞へと表現型を変化させる過程に着目して、これに関わる遺伝子群を検出、同定することにより、分化転換のメカニズムを理解すること、および神経網膜再生過程におけるイモリとより高等な生物種との違いを遺伝子レベルで明らかにすることを目的とする。 昨年度は分化転換を遺伝子レベルで評価するのに必要な各種マーカー分子のcDNAクローニングやそれらの発現解析などを中心に研究を進めた。その結果、分化転換には初期発生時に発現する重要遺伝子群が大きく関与していることが強く示唆された。そこで本年度は初期発生時の神経発生などにおいて重要な役割を果たしているsox, HES, Grouchoなどの各遺伝子群のcDNAクローニングを行い、その発現分布などを解析した。このうちイモリのSOX1, SOX2, SOX3はそれぞれ367,322,309アミノ酸よりなるタンパク質をコードしており、他の生物種の対応するSOXとそれぞれ70%前後の相同性を示した。各sox遺伝子は初期発生時の中枢神経系などで高発現していたが、眼の発生についてはsox1, sox2の発現は認められたものの、sox3の発現はほとんど認められなかった。また神経網膜再生過程においては、これらの遺伝子のうちsox2の発現のみが認められた。SOX2はES細胞の未分化状態の維持、分化全能性に必須であるOct3/4のパートナー分子であることが知られているが、分化転換においてもOct3/4のパートナー分子として神経幹細胞の分化状態の制御に関与している可能性が考えられる。分化転換は多数の遺伝子が関与する複雑な生命現象であるが、さらなる解析によりそのマスター遺伝子の同定も可能と考えられる。
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