Research Abstract |
193nmエキシマーレーザー光源を用いた,レーザーアブレーション・システムを構築し,四重極型ICPMSと接続して,微細領域の微量成分分析装置を開発した.火山ガラス,アパタイト,ジルコン結晶について,溶液ICPMS法とレーザーアブレーション法の比較を行った結果,相互に良好な分析結果の一致を見た.この分析法の確立により,直径20μm,深さ20μm程度の,極微細領域のサブppmレベルの微量元素分析が可能になった.分析可能な元素は,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Cs,Ba,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Hf,Ta,Pb,Th,Uの26元素が,比較的高い精度で測定できる.このほか,Li,Be,Bの軽元素についても,機器設定を変えることにより,測定できる.測定に当たっては,標準試料にNISTSRM612合成ガラスを用いた.標準試料と未知試料試料導入量の違いを補正するため,内標準元素として,^<29>Siを用いた.したがって,鉱物やガラス中のケイ素の含有量を事前に求めておく必要がある.鉱物については,化学量論的な値を用い,ガラスについては電子線マイクロアナライザーを用いて事前に測定を行った.測定精度は,繰り返し測定を行った結果,概ね5-10%以内程度である.測定確度については,未知試料の特性によるが,概ね15%以内である.この精度と確度は,鉱物や火山ガラスの微量成分を元にして,その岩石学的に成因論を議論するのに十分である.
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