Research Abstract |
圧力感知塗料(以下PSP)を塗布した粒子を用いた高乱流中の速度-圧力相関のレーザ計測システムを確立するために, 1)PSP計測システムの確立, 2)PSP計測の圧力分布測定, 3)試験部壁面上の酸素濃度分布計測, 4)PSP塗料の時間応答性の調査 を行った.そして,このPSP塗料を速度計測用に用いたトレーザ粒子に塗布した場合の問題点を列挙した. まずPSP計測システムの確立を行った.圧力計測分解能を上げるために12bitCCDカメラを用い,LEDを励起光源として用いた.LEDは試験部への取り付けが簡単かつ十分な励起光強度を得た.色素としてS/N比の高いバソフィンルテニウムをTLCプレートあるいはアルミ酸化皮膜に吸着して測定面に取り付けた. 上記のPSPを超音速燃焼器内の壁面に塗布して,壁面上圧力分布を捉えた.従来の静圧孔を用いた計測結果と比較して,ステップ下流の合体した再循環域内の圧力分布,燃料ジェット上流の弧状衝撃波の三次元的な形状や燃料ジェット周辺の馬蹄渦の形成など詳しく調べることができた. 同じシステムを用いて,PSPの基本原理である酸素クエンチング効果を応用した酸素濃度計測を試みて,噴射ガスを空気,窒素,酸素,ヘリウムと変えて燃焼器壁面近傍の混合場を捉えた. PSP塗料の時間応答性を調べるために,高空間分解能を有するカセグレン光学系によって,衝撃波管ならびに不足膨張噴流による非定常計測を試みた結果H_2TFPPの場合,最大2.5kHzの周波数特性を捉えた.なお,りん光強度に対するショットノイズの影響が大きいために,システムの改良が必要である. 以上のようにPSP計測を試みた結果,速度・圧力同時計測では以下のことを考慮しなければならない.亜音速流では常温空気を用いた場合,PSP塗料の温度依存性を考慮しなければならない.また超音速流に適用する場合には,静温範囲が広く,急激な温度変化も生じるために発光強度の温度依存性について校正をする必要がある.粒子に塗料を塗布した場合,粒子径の変化とその重さの変化ならびにその凝集性は,衝撃波通過などの急激な変化に対する追従遅れを生じるため速度計測誤差を生じる原因となる.同一平面上の速度・圧力同時計測を行うためには,PIV計測に用いるレーザシート波長によって励起される塗料であることが望ましい.しかし,パルスレーザであるためにレーザ光と同期する圧力測定用のカメラ露光時間はPSP塗料の時間応答性によって決まる.
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