「衛生」思想から見た西洋近代都市・建築の再評価に関する研究
Project/Area Number |
12875112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Architectural history/design
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片木 篤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70204419)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 衛生 / 健康 / 郊外 / 郊外住宅 / 田園都市 / リゾート / サナトリウム / リゾートタウン |
Research Abstract |
平成13年度においては、近代ヨーロッパで成立した1)郊外と郊外住宅 2)山岳リゾートとサナトリウムを取り上げ、それらを「衛生」概念から分析した。 産業革命を先導したイギリスでは、工業都市への人口集中とそれに伴う労働者の住環境劣化が「都市問題」化され、E.チャドウィックによる公衆衛生法の制定(1848年)以降、公衆衛生法と建築法により、住棟の前面道路幅員や「囲い地」、住戸の窓面積や天井高等が規制された。これらの規制項目を抽出することで、当時の「衛生」概念では、採光(=「太陽」)と通風(=「空気」)のサーキュレーションが重視されていたことが明らかとなった。また中流階級の郊外住宅では、そこに屋外活動として農業のシミュラークルとしての園芸(=「緑」)が加わり、そのことが郊外住宅地のパンフレットで宣伝されたり、更に啓蒙的企業家による工業モデル・ヴィレッジでも公共菜園が設けられたりした。E.ハワードの「田園都市」論(1898年)では、「太陽の輝き」「新鮮な空気」「樹木と牧草地と森」という利点をもつ農業-村落と工業-都市とをそれぞれ独立した1対として、両者の均衡が図られており、「田園都市」でも「衛生」概念が下敷きにされていたことが明らかとなった。 「太陽」「空気」「緑」は、「労働」からの心身の再生(recreation)、すなわち「余暇」の場であるリゾート地の必須要素となったが、海浜リゾートに労働者階級が押し寄せ大衆化されたこと、「オゾン」や「森林浴」といった新鮮な「空気」の摂取が喧伝されたことなどが相俟って、山岳にリゾートやサナトリウムが建設されるようになった。興味深いことに、J.ダイカー設計のサナトリウム(1919年-)やA.アアルト設計のサナトリウム(1928年-)では、桟橋や甲板といった海浜リゾートの差異的要素が持ち込まれていることが読み取れた。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)