Research Abstract |
(1)薄膜金属ガラスの成膜 RFマグネトロンスパッタ装置にて,Zr基およびPd基の薄膜金属ガラス(Zr_<75>Cu_<19>Al_6,Pd_<76>Cu_6Si_<18>)を成膜した.また,成膜された薄膜金属ガラスの過冷却液体域,抵抗率,機械的強度はスパッタ出力,スパッタ圧力,スパッタ時の酸素および水蒸気分圧に影響されることを見出し,最適と思われる成膜条件を実験的に見出した. (2)成膜条件による薄膜金属ガラスの物性 2-1 抵抗率,機械的強度 薄膜金属ガラスの抵抗率,機械的強度は,スパッタターゲットの品質,特に焼結したターゲットの場合,焼結密度に大きく依存することが明らかとなった.焼結密度の向上に伴って,薄膜金属ガラスの抵抗率は減少し,機械的強度(引張強度)は向上した.そこで,焼結法によらないターゲット製法として,アーク溶解したターゲットと同じ組成を持つ合金を,機械加工によりターゲットとする方法を適用した.その結果,抵抗率はZr_<75>Cu_<19>Al_6:160μΩ・cm,Pd_<76>Cu_6Si_<18>:62μΩ・cmが最低値であった.一方,引張強さσ,縦弾性係数Eの最大値はそれぞれZr_<75>Cu_<19>Al_6:σ=83.4GPa,E=1.61GPa,Pd_<76>Cu_6Si_<18>:σ=57.9GPa,E=1.14GPaであった. 2-2 熱的特性 薄膜金属ガラスの過冷却液体域は成膜条件,特にスパッタ出力とスパッタ中の酸素および水蒸気分圧によって変動することを見出した.これは,成膜時の薄膜の温度上昇,内部応力,スパッタガスの埋め込み,酸化などが複合的に影響しているためと思われる. 今年度の研究では,この原因について特定することはできなかったが,現在継続して研究を行っている.また,薄膜金属ガラスの時間温度変態曲線を作成し,薄膜金属ガラスの過冷却液体域が,バルク材同様熱的に安定であることを示した.
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