Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き遷移金属-ジエン錯体として鉄-ジエン錯体を用い,これからのアニオンの生成と,そのアニオンを求電子試薬によって捕捉する検討を行った。 リン官能基として,ビス(N, N-ジメチルアミノ)ホスホニル基を有するジエノールホスホナートとFe(CO)_5から、ジエノールホスホナート-鉄錯体の合成を行った。得られた鉄錯体にリチウムジイソプロピルァミド(LDA)を作用させたところ,ホスホノ基の転位反応が進行しないことを見いだした。また,反応を重水クエンチすると,重水素が導入されることも分かった。このことは,この鉄-ジエノール錯体から生じるビニルリチウムが比較的安定に存在できることを意味する。 次に,この鉄-ジエン錯体から生成させることのできるビニルリチウムと様々な求電子剤との反応を試みた。その結果,炭素求電子剤としてはヨウ化メチルが,ヘテロ原子求電子剤としてはジフェニルジスルフィド,塩化トリブチルスズ等が反応し,対応するヘテロ原子の導入ができることが分かった。 さらに,生じたビニルリチウムに種々の金属塩を加えることで,ビニル亜鉛やビニル銅へも誘導できることが分かった。これらの有機金属種は比較的安定で,0℃付近まで存在でき様々な反応に利用できることが分かった。 以上の結果より、鉄-ジエン錯体を利用することにより比較的安定はビニルアニオンの位置選択的な生成に成功し,これまで実現できなかった鉄-ジエン錯体のジエン上での官能基導入反応を見いだすことができた。
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