細胞間シグナル伝達物質としてのGPIアンカー蛋白質の細胞間transfer機構
Project/Area Number |
12877053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Immunology
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
仙道 富士郎 山形大学, 医学部, 教授 (80091833)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | GPIアンカー蛋白質 / GPI-80 / transfer / raft / Fc chimera protein |
Research Abstract |
GPI(glycocylphosphatiddylinositol)アンカー蛋白質(GPI-anchored protein;以下GPI蛋白)は、細胞膜表面にGPI-anchor部分で脂質二重膜の外層に突き刺さるようにして存在している分子である。同分子は細胞膜表面上を動きやすく、且つコレステロール・glycosphingolipidなどの脂質が多い膜表面上の特定部位(raft)に集合する性質を有している。GPI蛋白は、数多く同定されているが、一定の蛋白質がGPIアンカー型であることの生理的な意義は全く不明である。申請者は、GPI蛋白であるGPI-80分子をクローニングしており、過剰発現細胞(GPI-80/CHO)を樹立している。GPI-80分子の提供者としてGPI-80/CHOを用い、GPI-80を発現していない単球系細胞株THP1を受容者として共培養したところ、未固定のTHP1では、2-4時間をピークとするGPI-80分子のtransferが確認された。驚いたことに、受容者側のTHP1をパラフォルムアルデヒドで固定して共培養したところ、GPI-80分子のTHP1へのtransferが8時間まで経時的に増加する現象が確認され、transferされる量も未固定の場合と比較して多かった。また、提供者側をGPI-80の発現が認められているヒト好中球とし、受容者側を上皮系細胞株のHeLa細胞にした場合も同様の結果であった。この事から、実際には頻繁にGPI蛋白の細胞間のtransferが生じている可能性が考えられ、transferされたGPI-80分子は、細胞内へ取り込まれているか、細胞膜表面上で分解されている可能性が考えられた。そこで、GPIアンカー部分が受容者側へ移ることに重要であるかどうかを明らかにするため、可溶化型のGPI-80(sGPI-80/Fc)を作製し、THP-1の細胞表面にsGPI-80/Fcがtransferされるか検討した。その結果、提供者側が可溶化型の場合、受容者側が固定・未固定に関わらずGPI-80の転移が生じなかった。このことから、GPI-80の転移には、少なくとも提供者側がGPI-anchor型で細胞膜表面上に存在していることが重要であると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)