ケロイドの分子病態より見たアポトーシス制御の治療的意義
Project/Area Number |
12877286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Plastic surgery
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 俊一 長崎大学, 医学部, 教授 (30200679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 医学部, 助手 (00233198)
藤井 徹 長崎大学, 医学部, 教授 (60136661)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | ケロイド / アポトーシス / IGF-1レセプター / 線維芽細胞 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
手術時にインフォームドコンセントのもと得られたケロイドおよび正常皮膚各々3例の切除組織より線維芽細胞の初代培養を行い、3〜7継代の線維芽細胞を使用した。 まずケロイドではIGF-1レセプターが蛋白レベルで過剰発現していることを免疫染色・ウェスタンブロット法により確認した。次にC2セラミド(細胞透過性セラミド)の添加で正常皮膚由来線維芽細胞においてアポトーシスが誘導されることを確認し、ケロイドおよび正常皮膚由来線維芽細胞のアポトーシス感受性を位相差顕微鏡・蛍光核染色・TUNNEL染色・Flow cytometry・WST-lassayで評価した結果、ケロイド線維芽細胞では有意にアポトーシスが抑制されていた。そこでケロイドのアポトーシス抵抗性についてIGF-1レセプターシグナルの関与を調べるため、IGF-1の添加によるアポトーシス抵抗性の変化を評価するとともに、IGF-1レセプターシグナルの下流に位置するPhosphatidylinositol-3kinase(PI-3K)の特異的阻害剤であるwortmanninの添加による影響も評価した。その結果、ケロイド線維芽細胞ではIGF-1添加によりアポトーシス抵抗性の増強を認めた。またこの作用はwortmanninの添加により有意に抑制された。 結論としてIGF-1レセプターのシグナルはケロイド線維芽細胞のアポトーシスに対して抑制的に作用しており、正常皮膚由来線維芽細胞と比較しアポトーシス刺激に対して抵抗性を示すという結果を得た。このことは、ケロイドを創傷治癒過程が持続・遷延した状態と捕らえた場合、その病態にも合致するものと考えられる。またケロイドで特異的にみられる線維芽細胞の増殖と過剰な細胞外マトリックス蓄積にも関与している可能性が考えられ、今後さらに検討を重ねることで新たなケロイドの治療法にもつながるものと考えられる。 以上の結果は、THE JOURNAL OF INVESTIGATIVE DERMATOLOGY (DECEMBER 2000,VOL.115 NO.6)に掲載された。 さらに我々はケロイドの線維過形成について、IGF-1のシグナルとTGF-βのシグナルが関与していることを証明した(第10回日本形成外科学会基礎学術集会発表)。TGF-βはアポトーシス抵抗性や増殖等にも関与していることが予想され、現在そのシグナル伝達経路についても研究中である。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)