Research Abstract |
目的 : 日中両国の高齢者における社会経済地位が健康(健康状況と生存時間)に影響するメカニズムを解析して, 社会経済や福祉制度の成熟及び高齢化の進めに伴い, 社会経済地位の作用を比較する。 方法 : 藩陽市で2,766名を9年間, 多摩市で8,162名を7年間追跡して, 共分散構造モデルを用いて, 死亡者の社会経済地位, 文化的余暇活動, 健康状況及び生存時間に関する構造を解析した。 結果 : 両市共に, 健康状況に対する社会経済地位は, 直接的影響と文化的余暇活動を経る間接的な影響がある。藩陽市が多摩市より直接的影響が強い一方, 多摩市が藩陽市より間接的影響が強い。また, 藩陽市が多摩市より健康状況から生存時間に対する影響が強い。 結論 : 社会経済地位が健康に影響するメカニズムとしては, 直接にまた文化的余暇活動を経由して影響したことであり, 社会経済地位の作用は, 社会経済や福祉制度の成熟及び人口高齢化の進めに伴い, 物質環境の改善から生活様式の改善に変化し, または生存時間と健康状況との関係は弱くなるため, 健康状況が悪化しても生命は維持されることが明らかになった。
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