マクロファージの機能特性に基づいた胆管線維症の病理発生の解明と治療戦術
Project/Area Number |
12F02095
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Clinical veterinary science
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN MD. Golbar 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
HOSSAINMD. Golbar 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 胆管線維症 / ラット / M1/M2マクロファージ / 筋線維芽細胞 / CD68 / CD163 / クロドロネート / マクロファージ枯渇 / マクロファージ / α-naphthylisothiocyanate / 細胞骨格 |
Research Abstract |
胆管線維症は、胆汁うっ滞や自己免疫などの原因により惹起される胆管上皮細胞の傷害に続発する慢性増殖性炎で、増悪すれば肝硬変に至る。2年間の研究で、昨年までに(1)ラット肝発生に伴うマクロファージの動態(ラット肝組織におけるマクロファージの分布を調べる基礎データの確立)、(2)alpha-naphthylisothiocyanate (ANIT)による急性と慢性の胆管線維症のラットモデルの病態解析(胆管上皮傷害後に出現するマクロファージ群の動態解析)、(3)牛肝蛭症におけるマクロファージの特性解析(自然発生例の胆管傷害病変の解析)の3点について検討してきた。今年度は、以下の二つのマクロファージ枯渇(機能抑制)実験を行った。 1. ANIT胆管線維症モデルにおけるマクロファージの機能抑制実験 : ANITをラットに投与し、胆管線維症モデルを作出した。このモデルに、マクロファージの機能を抑制するクロドロネートリポソームを投与し、その病態の解析を行った。免疫組織化学的に、Iba-1(走化因子)、CD68(貪食活性)、CD163(炎症性因子産生)、MHCクラスII(抗原提示能)、CD204(スカベンジャーレセプタータイプA ; 脂質活性の指標)、ガラクチン-3(筋線維芽細胞の活性化)を発現するマクロファージが、クロドロネードの投与により減少し、その結果ビメンチン、デスミン、α-平滑筋アクチンを発現する筋線維芽細胞の出現が抑制された。すなわち、ANIT傷害により胆管周囲に生じる線維化の形成がマクロファージの枯渇により延長した。 2. チオアセトアミド(TAA)誘発肝細胞傷害におけるM1/M2マクロファージ分極化と枯渇実験 : マクロファージは、近年、貪食活性を有する古典的M1マクロファージと、組織修復に関わる修復性M2マクロファージに分けられる。小葉中心性の肝細胞傷害を有するTAAをラットに投与し、出現するマクロファージの特性を、M1/M2分極化の観点から解析した。組織傷害が出現していない極めて初期のステージにおいて、M1マクロファージ関連因子(INF-γ、TNF-α、IL-1β、IL-6)が増加し、かつM2マクロファージ誘導に関わるIL-4もこの時点で増加していた。その後、数日遅れてM2マクロファージから産生されるIL-10やTGF-β1が増加した。クロドロネートの投与により、CD68発現M1マクロファージやCD163発現M2マクロファージの出現が抑制され、線維化による病変の回復が遅延した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、多彩な機能を有するマクロファージの特性に注目し、胆管線維症モデルを用いて、その病理発生を解析することを目的とする。マクロファージを枯渇する動物実験は終了したが、残っている一部の解析は2014年9月までに完了する予定である、さらにin vitroでの培養細胞を用いた解析も現在予定通り進んでいる。よって、②「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題はH26年度9月末までのプロジェクトである。1)マクロファージ機能を抑制する動物実験は完了し、現在得られた材料を用いて詳細な解析をさらに進めている。また、2)培養細胞株HS-Pを用いたin vitroでの解析を進めている。よって、残りの半年は、以下の2点について研究を展開する。 1. マクロファージの出現状況と機能抑制の病態解明 : 胆管上皮傷害と肝細胞傷害の異なる二つのラットモデルにクロドロネートを投与することで、マクロファージの出現を抑制し、出現するマクロファージの種類とその機能抑制に基づいた病態の解析を比較病態学の観点から解析する。 2. ラットマクロファージHS-P株を用いたM1/M2分極化の概念に基づいた病態解析 : HS-P株を用いて、M1マクロファージの誘導に関わるIFN-γとM2マクロファージ活性化に関わるIL-4を添加し、マクロファージの機能変化と免疫組織化学的表現形との係わりを、これらの因子が関与する細胞内シグナルを含めて解析する。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)