Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
バナジウム酸化物は, 基礎から応用に至るまで興味ある物質である. この系は多くの研究がなされているにも関わらず, その構造と特性の関連性には不明な点が多かった. 本研究では, 近年合成された準安定なビックスバイト型バナジウム(III)酸化物について詳細な第一原理計算を行ない, この物質が, 常磁性から傾斜反強磁性, またはスピングラス転移を起こす可能性を見出した. この酸化物は, 550℃でコランダム型に相転移する準安定相である. 第一原理計算の結果, コランダム型よりも絶対零度で0.1eVエネルギーが高いものの, フォノンモードに対しては動的安定であることを解明した. そして, この研究の延長線上として, バナジウム酸化物V305の電子状態と構造探求の研究を進めた. この化合物では, 3価と4価のバナジウムが共存し, その電荷整列と, それに伴う構造変化が, ファーウェイ転移として知られている金属絶縁体転移に於いて重要である. これは, ほかのバナジウム酸化物で, 磁気整列が金属絶縁体転移とともに生じることと大きく様相を異にする. しかし, その詳細については, これまで第一原理計算レベルで解析した例はなかった, 同様のファーウェイ転移は, Fe304において生じることが報告されている. 本研究では, Fe304をリファレンスとして, V305についての研究を進めた. 本年度は, 数種のバナジウム酸化物に対して, 磁気構造と電荷整列について検討した. これらの計算は, 単純に既存のプログラムを利用するだけでは不可能であり, 初年度に得た電子相関の系統的な検討結果が極めて重要であった, これらのバナジウム酸化物についてのフォノン計算を系統的に実施し, 各多形の自由エネルギーの温度依存性を定量化することで, 相転移挙動を追究した. さらに, 新しく開発した結合状態COHPダイアグラムを適用し, 各多形の結合状態を解析した。
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