Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
糖尿病網膜症において, 病気自体を治療する治療法は内科的な血糖コントロール以外に未だ存在しない. 糖尿病網膜症が進行すると視機能低下抑制のためレーザーによる網膜光凝固や硝子体手術などの外科的治療を行うことがある. このような治療は, 根本的に糖尿病網膜症を治療するのではなく, 眼循環不全による眼虚血の改善, 眼虚血に伴い発生してくる新生血管の退縮, 眼内に発生した増殖組織および硝子体出血の除去などを主目的としたいわば対症療法的なものである. これまでの研究で、糖尿病網膜症モデル動物にて網膜血管の白血球が, 網膜血管の内皮細胞に接着していることが明らかとなってきている. そこで申請者は, 糖尿病網膜症の発症に網膜局所における炎症が寄与していると考え, 炎症性サイトカインのひとつのIL-1βに着目した. 申請者は, 糖尿病網膜症モデル動物を作成し, 糖尿病網膜症の網膜組織において, IL-1βの有意な発現充進を明らかにした. さらに詳細な解析を行い, IL-1βの発現, 分泌細胞が血管内皮細胞であることが明らかになった. 続いて, IL-1βはparacrine, endocrine的に種々の細胞に作用し, さらなるIL-1βの発現を促した. また, 高血糖などの網膜組織障害で網膜色素上皮細胞が, 網膜炎症の起点として働き, IL-6, IL-8, MCP-1などの主要なサイトカイン, ケモカインを発現することが新たに明らかになった. 今後は, これらの種々の細胞を使用し, 糖尿病網膜症で分泌発現が充進する種々のサイトカイン, ケモカイン及び成長因子の分子間ネットワークの解明を行うとともに, 糖尿病網膜症の治療標的となる新たな分子を同定していく予定である.
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