地震波散乱現象の観測による地域応力場変化推定法の研究
Project/Area Number |
12J00373
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Solid earth and planetary physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 京祐 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 地震波減衰 / 地殻応力変化 / 延性領域 / Q値 / 地震波散乱 / 2008年岩手宮城内陸地震 / 2004年新潟県中越地震 / 散乱減衰 |
Research Abstract |
地殻に載荷される応力変化と地震波の減衰率の関係性を解明するために、前年度に比べ、より実際の地殻に近い数値計算モデルを構築した。具体的には、有限要素法を用いた静的弾性解析により地殻モデル内の応力分布を求め、更に有限差分法を用いた波動伝播計算によりQ値(地震波の減衰率から得られる指標)を求めた。その結果、Q^<-1>値は応力の大きさが上昇するに従って、漸増することが分かった。また、Q^<-1>値は地下から伝播してくる地震波より求められるので、地下深くの応力変化を反映していることが分かった。つまり、地表付近の不均質に応力が集中するといった局所的な影響を受けにくく、地域的な応力場の変化を指し示す。この結果は、Q^<-1>値を用いることにより、内陸地震の発生挙動に大きな影響を及ぼす地殻延性領域(深さ15㎞-40km)での応力変化を検出できる可能性があることを示唆する。 上述の数値計算での結果が、実データにおいても成り立つか検証した。具体的には2008年岩手宮城内陸地震、及び2004年新潟県中越地震の前後の応力変化を検証した。(1)Q^<-1>値から求めた応力変化、(2)地震波解析より求めた断層モデルから計算される延性領域内での応力変化、(3)GPS観測より求まる地表面変動から計算される延性領域内での応力変化を求めた。Q^<-1>値より求めた応力変化は、地震波解析により求められた断層モデルに基づく応力変化(延性領域内)と非常に良く似た傾向を持つことが分かった。一方、地表面変動より求めた延性領域での応力変化は、Q^<-1>値及び断層モデルより求めた応力変化と異なる傾向を示すことが分かった。これは、地表面付近の不均質の影響や、斜面崩壊といった応力変化以外の影響を受けているためと考えられる。このことより、Q^<-1>値をモニタリングすることにより、延性領域といった地下深くの応力変化を捉えることができる可能性があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、地震波減衰から地下深くの地殻応力変化を検出することを目的としていた。今年度の研究により、2004年新潟県中越地震と2008年岩手宮城内陸地震の両地震において、地下深くの応力変化を検出することができた。また、日本に稠密に配置されている地震観測網の改善点をも指摘することができ、計画以上に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果により、当初目的に掲げた「地震波減衰から地下深くの応力変化を検出する」ということは完遂された。 今後、考えられる発展として、より稠密に配置される地震観測網を用いて、時系列変化する応力を地震波減衰変化から推定することである。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)