Project/Area Number |
12J00655
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鄒 双双 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 日中戦争 / 北京 / 日本文学 / 翻訳 / 銭稲孫 / 日本人居留民 / 「燕京文学」 / 文化漢奸 / 日本占領期の北京 / 日中文学交流 / 翻訳家 / 張我軍 / 万葉集 / 源氏物語 / 漢奸 |
Research Abstract |
本研究は、日本占領期の北京(1937-1945)における日中文学交流の実態、いわゆる北京における日本文学の翻訳と創作の様相を解明するために、作品の受容と人物の交流と共に、そこにいた中国人と日本人のアイデンティティに関わる機微な深層心理の一端をさぐった。 2013年度においては、昨年度まで所属していた関西大学文学研究科に提出した博士論文「日中戦争期の北京における日中文化交渉――日本文学翻訳家銭稲孫の軌跡」を改訂・補足し、『「文化漢好」と呼ばれた男――万葉集を訳した銭稲孫の生涯』と題し、2014年4月に東方書店より出版した。本書は、日中戦争期の北京に踏みとどまった銭稲孫という人物の訳業と、日本人との交流への追究を中心に、彼の軌跡を追うことによって日中戦争期の北京における日中文学の関係をより明瞭化させた同時に、異民族支配に置かれた一知識人の処世態度と学問姿勢の普遍性と特殊性について考えた。 上記の作業と同時進行に、当時北京に発行された雑誌を網羅的に精査し、中国語に訳された日本語作品をリスト化し、その特徴を指摘することによって、翻訳のありよう、これまで看過された翻訳史における意義を明らかにした。 さらに、戦後スパイ小説家として文壇で名を馳せた中園英助、「中国文学研究会」の同人である岡崎俊夫、飯塚朗らによって結成された、北京の唯一の日本人文学結社「燕京文学」を代表とする北京在住の日本人の創作活動を考察し、作品から支配側の一平民としての北京(北京人)、ひいては中国(中国人)に対する立ち振る舞いと感情を窺った。これまでほとんど研究がなされていないため、本研究の意義が大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は、翻訳家を突破口として日中文学の受容状況を翻訳を通して確認することを予定していた。これは、訳された日本語作品のリスト化と特徴分析、代表的な翻訳家銭稲孫、張我軍などの訳業を明らかにし、その実態に迫ることができた。北京在住の日本人作家の創作を研究した部分は、計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、平成24、25年度の二年間に亘って計画通り研究を遂行し、研究目的を達成した。今後、「満洲」文学、「孤島」上海文学、香港文学と対照しながら、日中戦争期の北京における日本人の創作をさらに掘り下げていく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)