地理的・歴史的変種の対照による日本語授受表現の運用に関する研究
Project/Area Number |
12J00716
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese linguistics
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森 勇太 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 授受表現 / 受益表現 / 敬語 / 命令表現 / 連用形命令 / くれる |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本語の授受表現の運用について,地理的変種と歴史的変種の対照によってその特徴を明らかにするものである。本年度は命令表現の地理的・歴史的変異,および「くれる」の運用の地理的変異について調査を行った。 [1]命令表現の地理的変異:近畿地方には動詞命令形を用いた命令法(命令形命令)と動詞連用形の外形を用いた命令法(連用形命令)が存在する。また地域によっては敬語を語彙的資源とした命令表現も用いる(以下,敬語形命令とする)。これらの地理的分布を確認すると,命令形命令は近畿全域にあるが,連用形命令は,大阪・京都・奈良を中心とした近畿の中心部に分布し,近畿周辺部には敬語由来の命令表現が存在することを明らかにした。全国に複数の命令表現が見られる地域があることから,近畿方言のように複数の命令表現が機能分担している運用は,他の地域にも共通していることが推測される。 [21命令表現の歴史的変化:現代語では,動詞の連用形に相当する形式で命令を行う"連用形命令"が西日本を中心に見られる。この連用形命令は宝暦頃から見られはじめるものであるが,連用形命令は近世上方において,敬語助動詞命令形「や」が終助詞と再分析され,「や」の前部要素が命令形相当の形式として独立し,成立したと考えた。 [3]「くれる」の運用の歴史的変異:本発表では,甑島里・長浜方言における「くれる」の遠心的用法(話し手から聞き手・第三者への授与・授益を表す用法)について述べ,中央語の「くれる」の変化と対照させた。「くれる」の変化のパターンについて,"維持"(里方言),"拡大"(長浜方言),"縮小"(中央語)が認められる。これらの変化の差異は当該方言で素材敬語を持っているかが要因となっており,素材敬語を失った長浜方言では「くれる」が上位者への授与・授益を示す用法で用いられることを述べた。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)