Project/Area Number |
12J00784
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日置 貴之 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2012 – 2013
|
Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2012: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | 歌舞伎 / 日清戦争劇 / 河竹黙阿弥 / 竹柴其水 / 狂言作者 |
Research Abstract |
本研究では、従来の幕末・明治期を対象とした歌舞伎研究において顧みられることが少なかった、江戸・東京の大芝居と上方の芝居、小芝居といった多様な歌舞伎の形態の相互関係について明らかにすることを目的としている。平成24年度は主にこのうち、明治期東京の大劇場における上演作品に関する作品研究やその作者たちに関する研究を行った。 作品研究の基礎資料となる台本の閲覧を早稲田大学演劇博物館、大阪府立中之島図書館、国立国会図書館等の諸機関で行ったほか、錦絵・新聞記事といった周辺資料の閲覧も行い、その成果として『国語国文』第82巻第2号に論文「「会津産明治組重」考――其水の日清戦争劇にみる黙阿弥の影響――」を発表した。これは、幕末・明治期の最も重要な狂言作者である河竹黙阿弥の作風や作劇手法がどのように門弟らに受け継がれていき、広がりを見せたかという考察の一端である。今後は、上方や小芝居における上演作品の検討を通じて、東京の大劇場以外における黙阿弥の影響について考察を広げていくことで、黙阿弥の業績の評価を見直していきたい。 また、狂言作者の著作に注目し、その伝本調査や活用のされ方の検討を通じて、狂言作者間あるいは狂言作者と周辺の文化人等の交流のあり方や、狂言作者の作劇方法を明らかにすることを目指した。具体的には、狂言作者の著作の中でも最も大部かつ広く流布した西沢一鳳の『伝奇作書』に注目し、全国の所蔵機関で伝本の調査を行った。その結果として、幕末・明治期の狂言作者たちが本書に親しみ、明治期の活版印刷の発展とともに本書がより広く普及していくに当たっても、重要な役割を果たしていたことが判明した。この成果については、日本近世文学会平成24年度秋季大会において口頭発表を行った(「狂言作者著述と劇界知識の普及――西沢一鳳『伝奇作書』を中心に――」)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主に江戸・東京の大劇場や河竹黙阿弥といった、従来から幕末・明治期歌舞伎の「主流派」と目される劇場や作者に関する考察を行っていくという、本年度の計画はほぼ達成することができた。また、上方劇壇、特にその地方興行に関する資料(主に番付)の所在の把握を進め、次年度の調査に備えるという計画もある程度は遂行することができたが、所蔵機関においても未整理である場合もあり、今後のさらなる調査が求められる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)