アンチドット型光格子中における量子気体の非平衡・非定常ダイナミクスの実験的研究
Project/Area Number |
12J00984
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 和也 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮 / アンチドット型光格子 / 量子非平衡現象 / 量子乱流 / 冷却原子気体 / ボーズ凝縮 / 光格子 / レーザー冷却 |
Research Abstract |
本課題は、ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)した量子気体系に対して、アンチドット型光格子を用いて量子乱流を生成し、様々なパラメタを光学的に制御した下で量子気体の非平衡ダイナミクスの直接的な観測を行うことを最終目的とし、実験的研究を行うものである。本年度は、アンチドット型を含む、相対位相を制御した光格子中におけるボーズ気体という、全く新たな量子多体系に対して、静的性質と当初の目的である非平衡ダイナミクスという両面から幅広くアプローチすることを主題とした。本年度の主な研究結果は、以下のようなものである。 1.2次元青方離調光格子中におけるボース気体の相図の確定 2次元青方離調光格子の相対位相やポテンシャル障壁の高さを系統的に変えて巨視的コヒーレンスの確認を行い、アンチドット型格子では広い範囲のポテンシャル高さで原子がコヒーレンスを維持することを確認するとともに、ドットが極めて高い場合、非自明な原子の局在化が発生することを初めて明らかにした。 2. アンチドット型光格子を振動させることによる散逸過程の観測 アンチドット型光格子全体を高速で振動させ、ある臨界速度以上で散逸過程への移行が起こることを明らかにした。さらに臨界速度のドットの高依存性を調べることで、量子渦に起因するアンチドット特有の散逸過程を初めて観測した。 これらの成果によりこの新たな系の基礎的な性質が明らかとなるとともに、アンチドット型光格子を用いて量子非平衡現象が生成可能なことを実証することができた。また、これらの成果はアンチドット型光格子が当初想定していた監子非平衡現象の生成に留まらず、多彩な量子現象の舞台となる可能性を示しており、今後の研究の広がりが期待できる。また、本研究の基盤である全光学的BEC生成装置に関しても技術開発を並行して行い、圧縮可能な二重光トラップと呼ばれる新たな手法によるBEC生成に成功した。この二重光トラップを用いると、僅か4,1秒の蒸発冷却で1×106個という、極めて多くの原子を含むBECを生成可能である。これは全光学的手法を用いた^<87>Rb BECでは世界最大であり、単位時間当たりの生成レートでは磁気トラップをも含めた全手法において最速である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、当初から目的としてきたアンチドット型光格子を用いた量子非平衡現象の発現、およびその観測に成功した。一方、極めてポテンシャル障壁の高い場合ではアンチドット型光格子でも原子の局在化が見られるなど、アンチドット型光格子中における量子気体の物理にはまだまだ未解明な点が多く、本研究は今後のさらなる研究の基礎となることが期待される。さらに、本研究を行う上で開発した二重光トラップによる全光学的BECは、本研究だけに留まらず量子縮退気体を用いた実験全般に応用可能である。課題終了までには間に合わなかったものの、BECの生成法も含め、上記の研究成果はすべて論文として投稿予定である。以上のことから、当初の計画以上に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)
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[Presentation] 2次元光格子中における原子波回折2013
Author(s)
安藤明博, 畑中修平, 山下和也, 花咲晃平, 酒徳唱太, 木下俊哉
Organizer
日本物理学会2013年度秋季大会
Place of Presentation
徳島大学常三島キャンパス
Year and Date
2013-09-26
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