Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
近年の量子エレクトロニクス技術の発展により、以前の固体物理では実現が難しかった理想的な孤立量子系である、冷却原子系のダイナミクスの実験が可能となった。そして実験・理論の双方から冷却原子系の非平衡ダイナミクスの研究が進み、注目を集めている。そこで、本研究では冷却原子系の非平衡ダイナミクスの計算機によるシミュレーションを行い、それらの結果をふまえ、非平衡系での非自明な量子効果の解明を目的とした。その際、量子論特有の、冷却原子系の緩和、衝突、混合などの非平衡統計力学的な性質に着目し、その結果を古典力学と対比させるという手法を用いた。これによって最終的には量子論に新しい近似の見方を与えることができると考えられる。本研究では、1次元量子系において量子効果を全て含み、高い数値精度を得ることのできる、時間依存DMRGという手法を用い、恣意的な近似を入れることなく冷却原子系の非平衡ダイナミクスを計算した。当該年度においては、トポロジカルな粒子輸送の研究や、1次元冷却原子系のポテンシャルによる引きずりの研究を行った。前者は実験に則した研究であり、後者は冷却原子実験技術のさらなる発展により実験で実現できると考えられる。これらの系は単純でありながら、粒子の統計性や不確定性によって強い量子効果があると考えられる。そしてその数値的な結果を理論的に解釈し、重要な知見を得た。最終的に、前者の結果は1度の日本物理学会で発表し、後者については1度の国際会議で発表し、現在どちらも論文執筆中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (11 results)
Phys. Rev. A
Volume: 86 Issue: 3 Pages: 33621-33621
10.1103/physreva.86.033621