Research Abstract |
大腸菌の遺伝子組換え技術を利用しながら,フォルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した張力検出センサをコードするDNA配列のクローニングを行い,目的のセンサタンパク質発現ベクターを得た.このベクターを用いて形質転換した大腸菌を培養し,条件検討の結果,センサタンパク質の高効率発現を達成した.また,センサタンパク質の精製に取り組んだ.得られたセンサタンパク質溶液の濃度を調整した後,分光蛍光光度計を用いて励起・蛍光スペクトルを取得した.また,適当な酵素を作用させながらスペクトルの経時変化を観察し,センサタンパク質にてFRET旨が生じていることを確認した.続いて,センサタンパク質を金を蒸着した細胞培養皿に固定し,細胞を播種した.適切な光源,ダイクロイックミラー,蛍光フィルターを搭載した全反射顕微鏡を用いてタイムラプスFRET観察を行った結果,細胞の移動に伴い培養皿に固定されたセンサタンパク質のドナー・アクセプターの蛍光強度比が変化することが分かった.これより,本研究で作製したセンサタンパク質により,細胞が移動する際の細胞と基版との力学的な相互作用がリアルタイムに測定可能であることが示唆された.これらの結果を受け,シルクフィブロイン三次元細胞培養担体にセンサタンパク質を導入するため,センサタンパク質をコードするDNAの5'末側にフィブロイン結晶領域をコードするDNAを融合させたベクターを作製を完了している. 本研究の遂行のため,研究期間中,研究代表者は共同研究先である独立行政法人農業生物資源研究所に出向した.また,大学の指導教員との報告・相談を逐次行いながら研究を進めた.さらに,蛍光イメージングに関する知識・経1験を得るため,第19回および第20回細胞生物学細胞生物学ワークショップ(蛍光顕微鏡トレーニングコース1および12)に参加した.
|