骨芽細胞の分化段階におけるMAPKsの機能制御機構
Project/Area Number |
12J02076
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional basic dentistry
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
楠山 譲二 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 脂肪分化 / 骨分化 / メカニカルストレス / MAPK / Cot/Tp12 / LIPUS / ROCK / 骨芽細胞 / MKP-M |
Research Abstract |
間葉系幹細胞は骨芽細胞、脂肪細胞へと多分化能を持つ細胞である。近年、機械刺激が幹細胞の分化調節の重要な因子であることが報告されている。LIPUS(低出力超音波)は骨折部に機械刺激を与えることで早期治癒を促す臨床応用例であるが、骨折部に最初期に集合し骨芽細胞を供給する間葉系幹細胞への影響については殆ど報告がない。そこで、LlPUSによる機械刺激が間葉系幹細胞の分化に与える影響とその分子機構を解析した。マウス間葉系幹細胞株ST2細胞にLIPUSを20分間照射しながら、脂肪分化または骨分化誘導培地で培養を行い、分化レベルをOil Red O染色及びAlizarin Red S染色と、RealtimeRT-PCRによる分化マーカー遺伝子の発現で評価した。またLIPUS照射後にタンパク質を回収し、シグナル分子の活性化をWestern blottingによって調べた。更に各シグナル分子特異的阻害剤とsiRNAを用いて、LIPUS刺激の分化における影響を解析した。ST2細胞をLIPUS照射しながら脂肪分化誘導すると、脂肪滴形成や脂肪分化マーカー遺伝子のFabp4、PPARgamma2の発現が抑制された。一方、ST2細胞にLIPUS照射しながら骨分化誘導すると、石灰化物形成と骨分化マーカー遺伝子であるRunx2、Osteocalcinの発現が上昇した。またLIPUS照射は、細胞骨格に係留するROCKと呼ばれる分子を介し、下流のキナーゼカスケード(Cot/Tp12・MEK-ERK)を活性化して細胞内にシグナルを伝達することが分かった。更にLIPUSによって活性化したERKは、脂肪分化を促進し骨分化を抑制する作用を持つ転写因子であるPPARgamma2のリン酸化を誘導した。リン酸化修飾されたPPARgamma2はその転写活性が抑制されるため、脂肪分化を抑制し、骨分化を促進したと考えられる。LIPUSは出力や時間を安定して制御でき、照射も簡便なため、細胞分化を制御する上で有用なツールである可能性がある。また、ROCK-CotiTp12-MEK・ERK経路は、細胞のメカニカルストレス受容機構における新たなシグナル伝達経路であると示唆される。本研究はtheJournal of Biological Chemistry誌にアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LIPUS(低出力超音波)が間葉系幹細胞及び前駆細胞の脂肪分化を抑制し、骨分化を促進することを見出した。そのメカニズムとして、ROCK-Cot/Tp12-MEK-ERK経路の活性化による脂肪分化マスター遺伝子PPARgamma2の発現抑制と転写活性の減弱が関与していることを明らかにした。本研究成果はthe Journal of Biological Chemistryにアクセプトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
LIPUS(低出力超音波)の治療応用に関する研究については、細胞分化に対する影響のみならず、炎症の制御や関節や靭帯に対する影響など、幅広い応用が期待できる基礎データが集まっており、臨床応用を見据えた研究を更に推進していく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)