NMR解析に基づくアミロイドベータオリゴマーの毒性発現機構の解明
Project/Area Number |
12J02689
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Structural biochemistry
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岩本 成人 熊本大学, 大学院・薬学教育部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドベータペプチド / MRI |
Research Abstract |
アルツハイマー病の神経毒性の原因は、オリゴマー化したアミロイドベータペプチド(Aβ)と考えられており、その中でも、ピロ化Aβは毒性が強いことが知られている。しかし、その毒性発現メカニズムは解明されていない。申請者は、これまでの実験結果から、Aβのピロ化がN末端において、βストランド構造を形成しやすくすること、分子間相互作用を生じることによって低分子オリゴマーの形成を促進する可能性を示す結果を得ている。本研究は、N末端のピロ化が、Aβのオリゴマー化に及ぼす影響を構造生物学的手法にて明らかにし、神経毒性との相関を構造的に理解することを目的とする。我々は、Aβオリゴマーにおける相互作用部位を明らかにするため、短時間しか存在しないAβオリゴマーを光架橋反応によって瞬間的に共有結合した。続いて、限定分解と質量分析を行い、Aβのオリゴマー化に関与するアミノ酸残基の特定を行った。その結果、Aβ配列中のH6-K16同士が架橋している断片が検出された。このことから、オリゴマー形成において、H6-K16の領域同士が近傍に存在することが示唆された。さらに、ピロ化Aβに関しても同様の実験を行い、ピロ化AβにおいてもH6-K16同士の架橋断片を検出した。一方、N末端の断片は非ピロ化Aβに比べて非常に検出感度が低くなっていた。本結果は、N末端同士の相互作用が存在する可能性を示唆する。 また、「マンガン造影MRI法を用いたAβ投与後のラットにおけるCa濃度変化を伴う脳活動パターン測定」という実験の検討を行った。炎症物質であるリボ多糖をラット脳に投与し、炎症性反応に起因するCa^<2+>濃度の上昇を本手法により非侵襲的に検出できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NMRを用いてアミロイドベータオリゴマーの毒性発現機構に関する構造機能解析をおこない、C末端部分やアミノ末端のピロ化が毒性発現に大きく寄与することを示した。 また、MRIを用いた研究にも着手した。マンガン造影MRI法を用いて炎症反応が検出できる可能性を強く示唆する結果を得た。これらの成果より、期待通りの研究の進展があったと判断する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)