Project/Area Number |
12J02761
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional materials chemistry
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮本 皓史 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 分子ゲル / 不斉 / 触媒 / 分子配向 / 脂質 / アミノ酸 / 超分子 |
Research Abstract |
これまで開発されてきた不斉触媒は分子内のねじれ構造に基づく不斉触媒を利用するため、高度な合成手段が必要となり、触媒の精密な分子設計と最適化を行う事が難しい。当該研究は分子ゲルの不斉アニソトロピーを利用して、非共有結合によって構築される革新的な不斉触媒の開発を目指すものである。 当該グループのこれまでの報告により良好かつ汎用性の高い配向性を示すL-グルタミン酸誘導二鎖型脂質を配向性部位として採用し、パラジウムなどの金属と錯化し、多様な反応の触媒として頻用される配位子部位:トリフェニルポスフィンヘアミド結合を介して導入し配向性配位子を得た。得られた配向性配位子とパラジウム(η^3-アリール)ダイマーを窒素雰囲気下で混合し、得られた混合溶液の1H-NMRと^<31>P-NMRスペクトル測定により錯形成を確認した。配向性配位子単独ではn-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、アセトニトリルにおいてゲル化を確認したが、得られた錯体はシクロヘキサン/トルエン中で良好なゲル化を示した。また透過型顕微鏡の結果より、配向性配位子単独同様、繊維状会合体を確認でき、さらにCDスペクトルにおいてはコットン効果が維持されている事を示された。配向性配位子とパラジウムの混合物を触媒としてスチレンのヒドロシリル化反応を試み、過酸化水素水による酸化反応によって得られた2-エチルベンジルアルコールをHPLCによって分析した。n-ヘキサンを貧溶媒として添加し、反応温度-20℃とした系でエナンチオマー過剰率を最大で19%eeを得た。 さらに触媒能を改善するために、配向性部位の検討を行った。レグルタミン酸をD-グルタミン酸、L-アスパラギン酸、L-リジンへ、またスペーサーの効果について色素プローブとしてピレンを導入し検討を行ったところ、グルタミン酸の立体異性が二次キラリティにほぼ完全に反映される事、アミノ酸部位を変える事によってゲル化能の改善とコットン効果の変化が見られる事、炭素数3のスペーサーを導入したピレンブタン酸において最大の二次キラリティが得られる事を確認した。以上の結果は脂質部位の最適化により触媒能の制御が可能である事が示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・超分子集合体からなる超分子触媒によってわずかではあるが、不斉合成が可能である事が示された。 ・二次キラリティは配向性部位によって顕著に変化する事が確認され、今後の触媒能改善ための対策手段が既に示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題は可能である事が示された超分子触媒による不斉合成の効率を改善する事である。本年度の研究成果として、配向性部位の僅かな変更により、会合能や二次キラリティの制御が可能である事が示されている。 今後の推進方策として、これら配向性部位にトリフェニルポスフィンを導入し、レグルタミン酸を用いた場合と同様に不斉合成を行い、CDスペクトルによって確認されるコットン効果と触媒能の関連性を調査する事が挙げられる。
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