Research Abstract |
超精密位置決めは,半導体産業や精密加工及び精密測定などの分野で必須となっており,高付加価値技術を支える重要な基盤技術である.半導体製造装置や微細形状測定機に用いられる位置決めステージにはXY方向の長い位置決めに加え,露光レンズ焦点面とウェハの間,もしくは測定プローブと測定対象物の間の距離を制御するため,Z方向に比較的短い位置決めが要求される場合がある.近年は,位置決め対象物の微細化が進み,位置決めステージにはXYZ各軸方向にSub-nmレベルの高精度な位置決めが要求されている.このような位置決めを実現するためには,Sub-nmオーダーの分解能を持つ変位センサによるフィードバック制御が有効であるが,そのためにはXYZ3軸の変位を同時検出する計測システムが必要となる.本研究では,XYZ3軸超精密平面ステージのXYZ3軸変位を300mm(X)×300mm(Y)×1mm(Z)の大きい範囲に渡ってSub-nmオーダーの分解能で一括計測することを目的として,大面積格子として複数の格子をつなぎ合わせたモザイク格子を適用した3軸サーフェスエンコーダのコンセプトを提案し,研究・開発を行うことである.本年度は,XYZ3軸超精密平面ステージのXYZ3軸変位を計測するためのXYZ3軸サーフェスエンコーダの開発と基礎実験を中心に研究を遂行した. マルチプローブを用いた3軸サーフェスエンコーダの光学系の設計と製作 ステージの3軸変位を3軸ともSub-nmオーダーの分解能で一括計測,コンペックトな形,高精度製作およびアライメントを念頭に置き,センサ設計の最適化および装置の製作を行った.光源には青色レーザダイオードを使用し,光学部品は685nm波長対応のもので構成した.また,スケール格子は格子ピッチ1「m,面積が60mm x 60mmのものを新たに製作した.実験結果により,開発のXYZ3軸サーフェスエンコーダはステージの3軸位置をSub-nmの分解能で計測可能なことを確認した.また,実際にリニアステージに位置計測実験を行い,格子間ギャップの影響を受けずにステージのXYZ3軸変位をサブnmの分解能で計測できることを確認した.さらに,格子間の姿勢誤差によりステージ位置計測感度が格子間で異なることを明らかにし,感度補正行列による補正手法を提案し,実験によりその有効性を実証した.
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