デジタル時代における著作権と表現の自由の衝突に関する制度論的研究
Project/Area Number |
12J04047
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
New fields of law
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
比良 友佳理 北海道大学, 大学院法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 著作権 / 憲法 / 表現の自由 / 違憲審査 / インターネット / 知的財産法 / 修正一条 / アメリカ法 / 知的財産 / 人権 / 制度論 |
Research Abstract |
本研究は、著作権と憲法上の表現の自由の関係について、デジタル時代、インターネット時代を迎えた今日では著作権が私人の行為を規制する可能性が高まっている反面、商業的な著作権者に加えアマチュアクリエイターが台頭するなど、著作権を取り巻くアクターが多様化しているという環境の変化に着目して議論を展開している。これまで著作権と表現の自由について直接明示的に判じた裁判例は我が国では存在しないが、米国では最高裁が「著作権は表現の自由のエンジン」として社会全体の創作物の豊富化に役立っているという認識のもと、著作権法に内在する調整原理の存在を根拠に、著作権の厳格な違憲審査は不要という立場に立っている。しかし本研究は、米最高裁の見解は司法と立法の役割分担という制度論的観点を欠いている点で問題があるということを指摘し、著作権も違憲審査を免れ得ないということを明らかにした。従来、表現の自由を規制する立法に対しては、「二重の基準論」が日本の憲法学で広く受け入れられてきた。それに加え、本研究は著作権法の立法に着目した違憲審査のあり方を検討した。著作権の立法過程には、少数派バイアス問題とメタファー問題という二つの問題がある。前者は、著作権産業など一部の積極的権利者は組織化されているために立法に意見が反映されやすい反面、個人のユーザーやアマチュアクリエイター等の声は社会全体に分散しているがために反映されづらいという構造的歪みがあるという問題である。後者は、ロビイング等の場面において、権利者らはしばしば「財産権」や「海賊」「窃盗」といった、人々のモラルに訴えかけるメタファーを使用して主張を推し進めているという問題である。立法過程にこれらの問題が存在する以上、著作権と表現の自由を調整は、立法だけに委ねておくのではなく、司法も積極的に著作権が表現の自由を過度に制約していないか審査すべきであるという結論に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)