Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
核酸を用いたプルダウンと遺伝子発現ノックダウンによるスクリーニングにより核酸認識候補分子として同定されたNAS1タンパク質について、本研究の一連の解析において、上皮細胞においてウイルスの複製に正に寄与することが示唆される知見が得られた。NAS1 KOのMEFにおいては、野生型に比べ、I型単純ヘルペスウイルス (HSV-1) 感染させた場合の培養上清中への複製ウイルスの放出が10%未満にとどまった。またHSV-1感染時のNAS1の細胞内での動態を、抗NAS1抗体を用いた免疫染色により解析したところ、通常は核内に圧倒的に多く存在するNAS1が、HSV-1感染細胞においては細胞質にも移行し、細胞膜付近に至るまでドット状の分布を示すことがわかった。また、この現象はHSV-1が核内において複製され、細胞外へ放出されるタイムコースと一致する。RNAウイルスの感染時にはストレス顆粒 (SG) と呼ばれるタンパク質と核酸との複合体が細胞質において形成されることが知られている。そこでNAS1のSGへの関与を免疫染色で検討したところ、SGのマーカー分子であるG3bp1とNAS1は共局在しないことから、既知のSGには関与しないことが示唆された。すなわち細胞内には、HSV-1のような核内で複製するDNAウイルスにとって複製に不可欠の未知の複合体が存在し、これにNAS1が関与している可能性が考えられる。また、NAS1はスプライシング因子として知られる分子であり、またその全身性欠損は胎生致死であることから、細胞内で生存に不可欠の分子がウイルスの複製に逆に利用されている例と捉えられよう。このような感染時の現象の分子メカニズムを明らかにすることで、特異性の高い、すなわち副作用の少ない抗ウイルス薬の開発にも有用であると考えられる
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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eLife
Volume: 04177 Pages: 04177-04177
10.7554/elife.04177
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/eradication-of-cancer-cells-by-innate-immune-system/index.html