骨髄異形成症候群におけるエピジェネティックな発症機構の解明
Project/Area Number |
12J04145
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 大地 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / エピジェネティクス / ASXL1 / EZH2 / ヒストン修飾 / microRNA / Hoxa9 / Clec5a / ASXL1変異 |
Research Abstract |
エピジェネティックな異常と骨髄異形成症候群(MDS)の発症・進展機構との関連性の解明を目的として、MDSで高頻度に認められるASXL1遺伝子の変異がヒストン修飾異常を介してどのように標的遺伝子の発現異常・腫瘍化をきたすかについて検討を行った。研究成果について簡潔に述べる。ASXL1変異体を反映したマウス骨髄移植モデルでは、移植後6か月から血球減少、偽ペルゲル核異常・過分葉などの分葉異常、芽球の末梢血中への出現、骨髄の過形成などMDSに特徴的な形質を呈し1年以上の経過(中央値400.5日)を経て死亡した。増殖に関連したclass I変異であるN-Ras-G12V活性型変異体とASXL1変異体を共発現させた骨髄細胞を移植するとN-Ras-G12Vにより惹起される骨髄増殖性腫瘍(MPN)に分化抑制がかかり、急性骨髄性白血病(AML)様の病態を呈した。発症・死亡までの期間の短縮、芽球比率の顕著な上昇からASXL1変異体は分化抑制をきたすものと予想され、細胞株においても同様に分化抑制作用を確認した。また、発現解析の結果からASXL1変異体の導入はポリコームの標的遺伝子を生理的状態とは逆に発現を上昇させることがGene Set Enrichment Analysis (GSEA)で示された。さらにASXL1変異体はASXL1野生型とEZH2との結合を阻害しEZH2の機能を抑えることで、抑制性修飾であることが知られているヒストンH3K27のトリメチル化を低下させHoxa9や腫瘍関連microRNAの発現が元進する事が腫瘍化に繋がることを多岐にわたる実験により示した。さらに、ASXLl変異が協調する新規遺伝子変異や、ASXL1と相互作用する重要なタンパクについても同定し機能解析を行い新たな知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請内容は世界に先駆けて報告することができ、MDSの発症メカニズムだけでなく病態が進展する機構や腫瘍全体に共通すると考えられるエピジェネティックな制御機構についてさらに踏み込んだ内容で研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
BMTモデルによる生体解析から上記の結果が得られたが、integration siteによる個体間での差や感染効率に差が生じるなどの問題点も見受けられる。この点を解決するために、条件的にASXL1変異体を過剰発現するノックインマウスを作成し評価している。また、今後は幹細胞研究の知見を取り入れながらMDS幹細胞の同定や腫瘍関連の新規エピジェティックパスウェイについて研究を進めることで、新規治療の開発を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)