Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究は, 函数体上のtモチーフから得られる周期について, その性質を詳しく調べるというものであった. 今年度は無限進の周期として現れる正標数多重ゼータ値及びCarlitz多重ポリログ値について, それらの間の代数的独立性に関する研究を行った. 標数0における通常の多重ゼータ値はRiemannゼータ値の拡張として定義されるが, 代数体と函数体の類似により標数pの世界においても多重ゼータ値が定義される. 標数0においては, 多重ゼータ値の間の関係式がかなり詳しく調べられているが, 関係式の非存在性についてはほとんど何も分かっていない. 私は今年度, かなり広いクラスの正標数多重ゼータ値に対して, それらの間の代数的独立性を示した. 具体的には, 例えば以下のような結果を得た : n_1, ..., n_dを「定数体の位数-1」で割れず, 互いにp冪倍で移り合わない正の整数とする. このとき, Carlitz基本周期及び正標数多重ゼータ値の(n_j, n〔+1〕, ..., n_i)における値たちは全て基礎体上代数的独立である。ここで, iとjは1≦j≦i≦dを満たす整数の組全体を走る. 実際には, インデックスの番号に飛びのあるものや, 互いにp冪倍で移り合う場合に対しても, 適当な条件の下で独立性を示している. また, Carlitz多重ポリログ値の間の代数的独立性に関しても同様の結果を得た. 標数0においてはRiemannゼータ値の奇数点での値が円周率と有理数体上代数的独立かどうかすら分かっていないことからも、この結果がかなり強いことを言っていることが分かる. 代数的独立性を用いることで, 固定した重さを持つ正標数多重ゼータ値が張る空間の次元を下から評価することも可能になった. 例えば, 定数体の位数が2でないとき, 重さ2の多重ゼータ値が張る空間の次元が2であることが私の結果から分かる.
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