反競争的行為の正当化に関する総合的研究-司法・立法・行政及び経済学の観点から-
Project/Area Number |
12J04971
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Social law
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳 武史 京都大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 正当化事由 / 適用除外 / 違法性阻却 / 競争促進的効果 / 効率性 / 市場の失敗 / 安全性確保 / 環境保護 |
Research Abstract |
反競争的行為が正当化される場合について、比較法学及び経済学の観点から、体系的かつ総合的に検討した。これまでの研究の延長線上にある社会公共目的(安全性確保や環境保護など)の正当化事由に加えて、経済学における生産上の効率性を達成した場合にいかに考慮するのかという効率性の抗弁と呼ばれる問題についても研究を行った。平成25年度も平成24年度に引き続き米国ハーバード大学において長期在外研究を行っている。この成果として、英語の論文であるTakeshi Yanagi, Justification of Anti-Competitive Activities : A Comparative Analysis, Harvard University USJP Occasional Paper 13-15, pp. 1-40, May 2013を公表した。また、同じく英語の論文であるTakeshi Yanagi, Efficiency Defense in Antitrust Law, Harvard University USJP Occasional Paper14-16, pp. 1-40, forthcomingを公表する予定でいる(掲載確定)。 第一に、社会公共目的の正当化事由については、米国反トラスト法ではProfessional Engineers事件以来、基本的に非経済的正当化事由を排斥する立場を採ってきた。これに対して、我が国独占禁止法では、最高裁判所は石油価格カルテル事件において非経済的正当化事由を許容する途を開いた。EU競争法では、伝統的には「公共の利益」による正当化を是認してきたが、欧州委員会は、近年、経済的アプローチと呼ばれる立場を採るに至り、CECED事件においては二酸化炭素の排出削減が経済的な効果として分析されている。 第二に、効率性の抗弁については、カナダ競争法96条が明示に認める法制を採用しており、反競争的行為を前提として効率性の抗弁を認めたケースとしてSuperior Propane事件がある。効率性の内容として総余剰基準を考える見解も有力であったが、この事件では紆余曲折の上、Balancing Weights基準と呼ばれる総余剰基準と消費者余剰基準の折衷的見解を採用することで決着をみた。立法趣旨からすれば総余剰基準という帰結が素直であるにも関わらず、競争審判所が消費者余剰基準にも一定の配慮をした折衷的見解を採用せざるを得なかったことは、消費者の利益の保護が競争法の重要な目的であることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)