Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は、国際機構の活動と国際責任の法理に関する研究(以下、本研究)の最終年度であった。三年間を通じて、とりわけ責任の発生段階に着目し、国連平和活動に適用される行為帰属規則について分析を行ってきた。今年度は、昨年度までの研究から得られた成果について、これを新しい法的問題へと応用する作業に取り組んだ。新しい法的問題とは、具体的にいえば、二重帰属の是非およびあり方、そして、国連以外の国際機構(とりわけNATO)への行為帰属である。第一の点について、二重帰属をめぐっては、先例の欠如ゆえに、学説上ようやく議論され始めた状況にある。国連平和活動に適用される行為帰属規則は、国際責任法と国際機構法のインターフェースに位置づけられるものであり、双方の法的必要性に基づいて成立・発展してきたものである。そこで、これまでの展開の延長線上に二重帰属の問題を位置づけ、いかに二つの法の要請を均衡させることが可能かについて分析を行い、適切と考えられる二重帰属のモデルを提示した。それによれば、たとえ二重帰属が認められうるとしても、被害者は、まずは国連の責任を追及するように求められる。さもなければ、すなわち、最初から国の責任を追及することができるとすれば、平和活動の自律性および実効性の確保という、これまでの実行を導いてきた法的必要性(これは現在も妥当している)を無視することになってしまう。第二に、NATOへの行為帰属に関しては、資料の入手困難性や先例の稀少性ゆえに、これまで本格的には研究されてこなかった。しかしながら、冷戦終結後の国連平和活動ではNATOが主要な役割を果たすことが少なくない。したがって、現行法の問題として論じることができる部分はきわめて限定的であるということは認識しつつ、現時点で可能な範囲で分析を加えた。以上をもとに、本研究の成果を博士論文としてまとめ、京都大学に提出した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014 2013 2012
All Journal Article (7 results) (of which Open Access: 3 results, Acknowledgement Compliant: 2 results) Presentation (2 results)
法学論叢
Volume: 第177巻第1号
Volume: 第177巻第2号
Volume: 第175巻第2号 Pages: 98-118
Volume: 第175巻第4号 Pages: 93-112
Volume: 第175巻第6号 Pages: 116-133
Volume: 174巻 Pages: 107-123
Volume: (未定)(掲截確定)