田植囃子における身体動作の構造 -歌唱との相互関係に着目して-
Project/Area Number |
12J05644
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
芸術学・芸術史・芸術一般
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 今日子 神戸大学, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 田植囃子 / 囃し田 / 身体動作 / 田植歌 / 民俗舞踊 / 仕事歌 / 民俗芸能 / 花田植 |
Research Abstract |
日本において、田植歌などの仕事歌は現在「民俗芸能」として「上演」されており、特に身体動作は労働の動作から演技としての動作へと変容・創作されてきた。本研究の目的は、田植囃子における身体動作と歌唱との相互関係を分析することを通して、今日の田植囃子における芸の形成と伝承のメカニズムを、身体動作に主眼を置きながら明らかにすることにある。本研究の具体的作業として、平成24年度は中国地方(特に安芸地方)における田植囃子(通称「囃し田」)のフィールド調査を通して、歌および身体動作の分析と技の教授方法の分析を行った。調査の結果として得られた知見を以下に記す。 中国地方の田植歌は詩型に伴って複数の旋律型に分類されることが数々の先行研究で明らかにされてきたが、筆者の分析により、ある特定の田植歌にのみ複数の身体動作のパターンが付随していることが調査した全ての伝承団体において確認された。また技の教授に関しては、従来はいかに場面に見合った上の句の歌詞を選定し、それにうまく対応して下の句を歌えるかといった要素が重視されていたのに対し、今日では身体動作のパターンをバランス良く選定することが重視されている。そのために、技の教授や練習内容の様相が変容していることが明らかになった。具体的には、練習や演技の進行のメカニズムが、前述したある特定の田植歌が優先的に多く演じられることによって決定されている。従来の研究においてもこの特定の型の田植歌は「標準型」などと呼称されてきたが、本研究によりこの田植歌が身体動作を最も創作しやすく、また視覚的に多くの内容を演じることができるがために、標準的に演じられてきた可能性が高いことが分かった。伝承脈絡を鑑みながら演技を分析することが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、フィールド調査により多くのデータを得ることができた。その成果として、東洋音楽学会第63回全国大会における発表を行い、また神戸大学大学院に博士予備審査論文を提出し受理された。以上の理由から、おおむね本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、フィールド調査において聞き取り調査や映像記録を行い、そこから様々な知見が得られた。しかしながら膨大なデータ量のために、分析が追い付かないという実情もある。また、詳細な分析によりさらなる成果が見込まれる。そこで今後の研究計画に関して、詳細な分析を行うための時間を要するという理由から博士論文の提出の時期を変更した。博士論文は平成25年度に提出する予定である。なお、研究内容に関しての変更はない。(平成25年度交付申請辞退予定)
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)