絶滅危惧種カワシンジュガイの長期的な個体群維持機構の解明
Project/Area Number |
12J05823
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Resource conservation science
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
照井 慧 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 河川 / 寄生者 / イシガイ類 / カワシンジュガイ |
Research Abstract |
近年、人為的影響による河川生態系の不健全化は著しく、その対応策の立案は国際的な課題となっている。人為的影響に対して特に脆弱とされるのは、絶滅の連鎖の影響を受けやすい共生関係で結ばれた種群である。幼生期にヤマメに寄生するという興味深い生活史をもつカワシンジュガイは、日本の各地で個体群の急速な衰退が認められている。個体群維持のメカニズムを明らかにし、衰退に歯止めをかける必要がある。カワシンジュガイは、貝礁と呼ばれるパッチ状の局所個体群を形成する。カワシンジュガイの自発的な移動能力は限られるが、幼生期(グロキジウム幼生)にはヤマメに寄生して局所個体群間を移動する。一方、ヤマメから離脱した稚貝は(0.5mm程度)、数年にわたって出水のたびに流下する。カワシンジュガイの局所個体群は、「ヤマメによる幼生分散」および「稚貝の水流による流下分散」を通してつながっている。したがって、長期的な個体群の維持のためには、局所個体群の集まりである「メタ個体群」としての存続がカギとなる。 2013年度は、カワシンジュガイのメタ個体群の構造(すなわち、局所個体群間のつながりのあり方)を明らかにするため、現在でも健全なカワシンジュガイ個体群を維持している北海道・朱太川水系において、(1)流域全体の局所個体群の分布把握および(2)局所個体群サイズに対するヤマメおよび水流を介した個体の移入の効果の検証を行った。(1)については、90kmにおよぶ徹底的な分布調査を行ったところ、本川とふたつの支川にのみ繁殖個体群(周囲のヤマメに対して高い寄生率を示す個体群)が分布していることを明らかになった。繁殖個体群の分布する範囲は広く、本川の河口から21-30.5kmの範囲に分布が認められた。(2)については、(1)から得られた結果をもとに、上下流双方の個体供給ポテンシャルが局所個体群サイズに及ぼす影響を分析した。その結果、上流側の個体供給ポテンシャルは個体群サイズに対して強い正の効果を示した。一方、下流側からの効果は認められなかった。 ここで重要なのは、上流に向かうにつれ局所個体群サイズは小さくなるが、それらは個体の供給源として重要な役割を果たしている点である。この結果は、個体群の構造を考慮せず、大きな個体群から優先的に保全を行った場合、予期せぬ衰退を招くことを示唆している。上流域に存在する個体群は、その個体群サイズに関わらず、保全の際には注意を払うべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(抄録なし)
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)