Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は, IFRSの特徴という分析視座から会計利益と企業行動を分析し, その経済的影響を究明することを通じて次世代における企業会計のあり方について検討することを目的とする。そのために平成25年度においては, つぎの研究活動を実施した。 まず, 関連文献の収集と文献研究を行った。これは, IFRSが現在も設定段階にある会計基準であるために最新基準に基づく先行研究を掌握する必要があり, 新しい視点をもった研究が公表され続けていることを鑑みたものである。このような文献収集・渉猟を行うことにより, IFRSにおいて課題とされている諸問題を浮き彫りにし, 本研究を遂行するうえでの問題意識の明瞭化を図っている。 こうした先行研究渉猟をもとに, 平成25年度は主としてIFRSでは条件付きで資産計上が容認されている研究開発費(R&D)に関して実証的分析を実施した。R&Dはその金額が多額であるのみならず, 企業の将来業績に関連するとともに資産計上・費用計上の面で会計の保守主義にも関連するという点で極めて重要な研究課題である。具体的な実証的分析の内容としては, (1)経営者が利益目標達成を行う強いインセンティブを有するときのR&Dによる利益調整行動とその資本市場における評価, また(2)R&D投資増大に関する情報と企業の将来業績および将来株式リターンの関連性の2点を分析している。分析の結果, 経営者は二期連続で利益目標未達を回避するためにR&D投資を減額する傾向があるが, 資本市場はそのような企業行動を看過したうえで投資判断を行っていること, またR&D投資増大に関する情報は企業の将来収益性の不確実性を増加させる一方で, 将来株式リターンとはマイナスに関連することが明らかとなっている。平成25年度の分析においてもR&D予想情報を利用していた点が独創的であり, 特徴を有している。
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