日本統治下のサハリン先住少数民族-戦前・戦後における法的地位の変遷-
Project/Area Number |
12J06122
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 絢子 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 先住民 / 国境 / 引揚げ / 植民地統治 / 学際研究 / 樺太先住民 / 植民地法 / 引揚げ史 |
Research Abstract |
前年度に報告したとおり、前年度の調査で以下の問題が浮上し研究計画について変更が生じた。まず、先住民の主な引揚げ先であった北海道網走地方での調査で先住民に関する記録が見つからなかったことと引揚げ者の特定が非常に困難であることが判明したため、本年度では当事者へのインタビューではなく①中央政府の先住民への対応や見解を中心に調査することにした。またソ連領から日本領への移住背景を把握するためロシアの各公文書館にて②ソ連統治期の先住民について調査することにした。このような方針に従い、以下の研究活動を実施した。 【①日本政府(占領国含む)の樺太先住民への対応】引揚げ後の先住民への対応については、9月に北海道立文書館にて網走支庁管轄区の引揚げ者収容状況や仮設住宅地に関する資料を閲覧したが、樺太先住民についての記述はなかった。10月には国立国会図書館憲政資料室で占領期における米国内務省の日本の統治方針に関する資料および樺太・千島からの引揚げ団体が発行する新聞記事を閲覧した。 【②ソ連時代の資料調査について】戦前の北樺太のソ連統治状況については極東国立公文書館(ロシア・ウラジオストク)にて、ロシア革命後の極東地区の統治に関する行政資料を閲覧した(2014年2月~3月)。第二次大戦後のソ連によるサハリン統治については、9月にサハリンで現地調査および史料調査をおこなった。現地調査では先住民のトナカイ飼育地帯であったポロナイスク・ブユクリ地区へ行き、日本統治期の帝国大学演習林跡地の視察およびポロナイスク営林署での聞取り調査を実施した。史料調査では、サハリン国立公文書館および同州立図書館にて先住民に関する資料の閲覧・複写をおこなった。またこれらの史料調査を補うため10月に一橋大学附属図書館にてロシア極東地方の雑誌を閲覧した。9月には北海道大学で催されたサハリン先住民族の文化復興活動についての講演会に参加した。 このほか今年度前半に判例資料の分析手法について法学・歴史学・政治学からの学際的なアプローチを模索した。10月には国際政治学会にて報告をおこない、政治学分野の研究者との交流を持った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日ソのサハリン統治に関する行政資料を国内外で網羅的に調査することができ、各文書館における樺太先住民に関する資料の有無を把握することができた。結果として先住民に対する法の運用の実態に迫る直接的な資料を見つけることはできず、先住民へのインタビューも実施出来なかったが、政府関係の資料収集に集中したこと、および先住民族の法的地位の問題を本研究テーマで扱うことの学術的意義を再考した結果、法的な問題に対する多角的な視野を養う機会となり、日本の植民地研究における樺太先住民の事例の位置付けに、より明確な研究視点を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
報告者はこれまでの研究活動で日ソのサハリン先住民統治に関する政府レベルでの資料をある程度収集することができたが、これらの資料をより詳細に分析するため、政府決定に関与した専門家や政治家の言及を整理する必要がある。その作業を経た上でこれまでの研究内容を論文として発表することが目下の課題である。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)