Research Abstract |
本年度は, (1)前年度に引き続き, 様々な条件でCO_2/O_2吹き2段噴流床石炭ガス化炉内の熱流体解析を行い, 操作条件が炭素転換率, 合成ガス発熱量に及ぼす影響を検討した. また, (2)石炭, バイオマス, バイオチャーのガス化解析を行い, バイオチャーの石炭代替可能性を検討した. 主な結果は以下のとおりである. (1)O_2/CO_2吹き石炭ガス化炉内の熱流体解析 解析パラメータの感度解析を行ったところ, 炭素転換率に大きな影響を及ぼす因子は, 壁面温度であった. その他のパラメータの影響は少なく, 炭素転換率は燃焼室で97-99%, 還元室では45-57%となった. チャー反応速度については, CO, H_2濃度に関連するため, 合成ガス発熱量への影響が大きいことがわかった. これまでの結果より, 壁面高温条件, 高酸素比(>0.7)で合成ガス発熱量が上昇することがわかった. 実用面を考慮すると, CO_2濃度の上昇が有効であることが示唆された. (2)バイオマス/バイオチャーの石炭代替可能性 石炭, バイオマス, バイオチャーのガス化を解析し, バイオチャーの石炭代替可能性を検討した. ここで, ガス化は固体粒子の昇温, 揮発分の揮発, 揮発分の燃焼, チャーのガス化および酸化, という段階を経てガス化するモデルとして考慮した. 解析手法は, 石炭ガス化と同様で, 太平洋炭, 褐炭, オークチャー, ユーカリ葉由来のバイオチャーについて検討した. その結果, 固体燃料中の固定炭素の増加により, 燃焼性は減少し, 固体燃料中の揮発分の増加により燃焼性は増加した. また60μmのオークチャーと70μmの太平洋炭の燃焼性が同等であることを示した. 未加工のバイオマス(ユーカリ葉)よりも375℃で生成したバイオチャーを使用すると, 褐炭と同等の燃焼性を示した. これらの結果から, バイオチャーは従来の石炭ガス化への代替燃料として, 利用可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
石炭ガス化に及ぼす, すす生成, CO_2/O_2雰囲気でのCO_2, O_2濃度の影響を検討するため, 昨年度は3次元数値解析を行い, 本年度は, 作成したモデルを用いて石炭ガス化における感度解析を行った. さらに, 従来の石炭ガス化システムの代替資源の探索ため, 石炭, バイオマス, バイオチャーのガス化を検討した. 2013年9月に学位を取得し, その後新しい研究を開始したため, わずかな時間ではあったものの, 精力的に研究に取り組むことができた.
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