14-16世紀エジプトにおける徴税と村落社会:土地台帳をてがかりに
Project/Area Number |
12J06212
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Asian history
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
熊倉 和歌子 公益財団法人東洋文庫, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2015-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2014)
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Budget Amount *help |
¥2,640,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | エジプト / ナイル / 灌漑 / 国家体制 / 環境史 / GIS / 「イクター制」 / 環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は「王領地を例に、灌漑、収税、農産物の流通の過程とそれに関わる人びとの役割と関係性について考察し、15世紀後半から16世紀のエジプトにおける村落社会と地方統治の構造を明らかにすること」である。本研究は、地方統治の構造を従来の単線的な構図から脱却し、多層的、組織的な新しい構図を提示することを目指した。 2年目となる平成25年度は、前年度に収集した史料をもとに、前近代のエジプトにおける灌漑(「ベイスン灌漑」と呼ばれる)の構造と、政府が灌漑の維持管理にどのように関わったか、また、村落社会が果たした役割について明らかにし、灌漑の維持管理に見られる支配の構造に踏み込むことができた。 考察は、夏季に増水するナイルの水を耕地に導き冠水させる灌漑方法「ベイスン灌漑」において、主要灌漑設備である土手の維持管理に焦点をあてた。前近代においては、土手は政府が管理する大規模な「政府の土手」と村が管理する小規模な「村の土手」に大分されたが、本考察では、「政府の土手」を対象とし、その維持管理に関わる16世紀オスマン朝の『土手台帳』の記録を手がかりに、1年を通じた土手の管理のあり方を追った。その結果、「政府の土手」は一定間隔でナイルに対して垂直に設置された土手であり、それを政府主導で管理することによって、上流と下流への適切な水の分配を可能にしたことを明らかにした。また、土手の維持管理には、政府の担当官と村人が関わるだけでなく、土手単位で配された地元の有識者や県単位で任命されたアラブ部族の長といった中間のアクターが存在したことを示した。 本研究の研究史上の意義は、まず、「政府の土手」が何であるかを明らかにした点である。これによって、「ベイスン灌漑」の時代に政府が果たした役割を明らかにすることが可能となった。また、GISを利用した地理的分析を通じて成果を発信したことも重要である。これにより、地理的視点が等閑視される傾向にある歴史研究において、地理的分析の有効性を示したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)