Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
これまでの研究から, 感情状態を構成する要素である感情価(快-不快)が認知的処理に影響することが明らかにされてきた。しかし, 感情状態を構成するもう一つの要素である覚醒度(高-低)の影響については明らかでなかった。そこで, 感情価(快-不快)と覚醒度(高-低)が単語の処理や注意に及ぼす影響について, 事象関連電位を用いた検討を行った。まず, 快感情状態における覚醒度の違いが単語の処理に及ぼす影響について検討した。24名の参加者に, 音楽や環境音を呈示することで高覚醒・快, 低覚醒・快, 中性感情状態を喚起した後に, 呈示された文字列が単語か偽単語かを判断する語彙決定課題を実施した。単語および偽単語に惹起されたN400振幅は, 高覚醒・快感情状態のときに中性感情状態のときよりも増大した。このことから, 高覚醒の快感情状態の下で単語の処理が促進することが示された。次に, 感情価と覚醒度が注意の範囲に及ぼす効果について検討した。24名の参加者に音楽を聴取させ, 感情価と覚醒度の異なる4種類の感情状態を喚起した。その直後に, フランカー課題を実施した。課題では, 視野の中心から異なる位置(内側 : 0.5°, 外側 : 1.5°)に白色の長方形の刺激(プローブ刺激)を呈示した。参加者は視野の中心に呈示されるアルファベットがHかSかを判断し, ボタン押しを行った。プローブ刺激に惹起されたP1振幅は, 内側プローブで外側プローブよりも大きかった。このプローブ位置効果は飼い感情状態のときに不快感情状態のときよりも減少した。さらに, プローブ位置効果は低覚醒・快感情状態のときには消失した。このことから, 快感情状態は, 低覚醒のときに特に注意の範囲を拡大させることが明らかになった。以上の結果は, 感情状態が認知的処理に及ぼす効果において, 覚醒度も重要な役割を担っていることを示唆する。
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