脊髄損傷モデルサルを用いた人工神経接続による運動・体性感覚機能の同時再建
Project/Area Number |
12J06914
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cerebral neurosurgery
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
加藤 健治 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 人工神経接続 / 運動適応 / 脳梗塞 / ブレイン・コンピューター・インターフェイス / ブレイン・コンピュータ・インタフェース |
Research Abstract |
脳梗塞・脊髄損傷後による運動機能障害は、大脳皮質と脊髄間を結ぶ下行路が切断されているために起こるが、損傷領域の上位に位置する大脳皮質や、下位に位置する脊髄・末梢神経・筋はその機能を失っているわけではない。従って、機能の残存している大脳皮質より神経活動を記録し、損傷領域を超えて下位の神経構造へ、神経活動依存的な電気刺激を送る「人工神経接続」によって、失った随意運動機能を再建できる可能性がある。本研究では、脳梗塞モデルサルにおける大脳皮質-筋間の人工神経接続に対する運動適応過程とその神経メカニズムについて検討した。3頭のサルを用いレンズ核線条体動脈或いは前脈絡叢動脈を結紮することにより脳梗塞モデルサルを作成した。大脳皮質-筋間の人工神経接続は、大脳皮質前頭葉へ慢性留置したシート状電極のうち1極を任意に選択し、記録された脳活動よりhigh-γ帯域(80-120Hz)の特徴的な波形を検出し、その検出頻度に依存して電気刺激の強度と周波数を変調させることにより達成した。人工神経接続切断時では麻痺手の随意制御ができなかったが、人工神経接続中には、随意的に麻痺手の運動を制御することに成功した。さらに、一次運動野、運動前野、一次体性感覚野におけるいずれの脳活動を使っても、麻痺筋の随意制御は可能であり、手関節力制御タスクの成績は時間に伴って有意に向上した。その学習に関わる神経メカニズムを調べたところ、人工神経接続への入力信号を効果的に増加させることによって、自己学習できることがわかった。これらの結果は、脳梗塞サルであっても、自ら脳活動を大規模に再編成させて新規な大脳皮質-筋間の人工神経接続に対して自己適応し、失った手の随意制御を再建できることを示唆している。将来、このような神経代替方法によって、脊髄損傷・脳梗塞等で失った四肢の随意運動機能を補綴する基礎的なメカニズムの理解に、重要な貢献をなすものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、1)マカクサルにおいて脳梗塞モデルサルを作成できたこと、2)脳から筋への人工神経接続を形成することで麻痺した手首運動における随意制御の再建に成功できたこと、3)詳細に脳活動を解析することで、脳損傷のある脳梗塞サルであっても人工神経接続に対して柔軟かつ自在に脳活動を制御していく適応過程を実証できたこと、以上の3点より、当該研究はおおむね順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳梗塞モデルサルで実証した大脳皮質から筋への人工神経接続を、脳梗塞患者へ臨床応用していくことを目指す。頭皮上より計測した脳活動を用いて人工神経接続を形成し、非侵襲的なアプローチから試みる。同時に、脳梗塞・脊髄損傷モデルサルにおいて、筋から脳への人工神経接続によって、失った体性感覚機能を補綴することを目指す。最終的には、脳から筋、筋から脳への双方向性の人工神経接続によって、麻痺した運動・体性感覚機能の同時再建を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)