Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Research Abstract |
社会的知能仮説, またはマキャベリ的知能仮説は, 高度な社会的知能が進化した要因を複雑な社会環境への適応だと考える. 集団中で誰と協力し, 誰を欺くかといった「かけひき」を上手くこなすことが繁殖成功をもたらすとする仮説である. この仮説において, 個体間の関係性, つまり社会ネットワークの情報を把握できていることは, 高次の認知能力を示す証拠として重要視される. その一方で, 個体の属性のみを用いて行動を変化させる研究に比べて, 社会ネットワークの情報を考慮にいれた理論研究は非常に少ない. そこで本研究では, このような個体間の関係を把握できる認知能力の進化を理解することを目標に, シミュレーションと数理解析を行った. 昨年度は, 社会ネットワークが固定した状況だけを考えていたが, 今年度は, 研究計画どおり, 社会ネットワークが動的に変化するモデルを構築し解析を行った. その結果, (1)連合を形成することによる戦闘能力の増加分が多いこと, (2)個体間の社会ネットワークの強さのばらつきが大きいこと, (3)戦闘が致死的であること, (4)勝利した連合内での資源分配が平等に近いことによって, 社会ネットワークの情報を用いた連合形成を行う戦略が進化しやすくなることがわかった. また, 今年度は, Letters on Evolutionary Behaviora lSciences誌に論文が掲載されるとともに, アメリカで開催されたAnnual Meeting of the Human Behavior and Evolution Society, 国内で開催された日本進化学会, 日本数理生物学会, 日本人類学会, 日本人間行動進化学会, 日本生態学会に参加し, 発表を行った. 日本人間行動進化学会での発表に対して, 若手口頭発表賞を頂いた. また, 種生物シンポジウムで招待講演を行った.
|