Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究では, 既存インフラストラクチャに暗号技術を導入ときに予想される障壁を緩和できるような高度な機能を備えた暗号技術を実現することを目的に, 暗号化できる平文を制限できる公開鍵暗号方式や, 利用者のプライバシを保ったまま認証を行う技術であるグループ署名について, 研究を進めてきた. そのような様々な高度な機能を備えた暗号技術の安全性を議論するためには, 安全性要件と呼ばれる, 暗号技術の利用される環境を抽象化したモデルを定義し, そのモデルの下で各々の技術の安全性を議論することがこれまで行われてきた. 本研究では, このアプローチの欠点として, 以下の2点に着目し, それらの欠点の克服にむけて研究を進めた : (1)異なる機能を持つ暗号技術がごとに異なる安全性要件を定める必要があるために, 暗号技術の設計が機能ごとに各個撃破的になりがちであること, (2)一旦安全性要件を定めると, その安全性要件では捉えられない攻撃に対して注意が向けられない傾向があること. 本研究では, 種々の暗号技術の, 特に既存インフラストラクチャへの導入障壁を取り除くために有用な機能を備えた高度な暗号技術の, 安全性要件相互の関連性を整理することにより, 上記2つの欠点を克服することを目標に研究を進めた. このように関連性を整理することで, 高度な機能を持つ複雑な暗号要素技術について, どの部分が他の要素技術と共通し, どの部分が当該の要素技術特有であるのかを整理できる. そのような知見は, 具体的な暗号方式の設計において有用な指針を与えると期待できる. また更に, 安全性要件の関連性の整理から, ある暗号技術においては考慮されているにもかかわらず, 他の暗号技術では考慮されていないような, 未知の安全性上の懸念が発見できることも期待できる. そのような懸念は, 一方の暗号技術において意味のあるものとして定義されている以上, 他の暗号技術においても実用上重要な意味を持つと予想される. 本研究ではこのようなアプローチにより研究を進め, 得られた成果はいずれも権威ある英文論文誌・国際会議に採録されている.
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