脳磁図とトラクトグラフィによる文構造を処理する領野間の機能的・解剖学的結合の解明
Project/Area Number |
12J08931
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Linguistics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 真理 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 言語 / 文法・統辞 / 機能的磁気共鳴画像(fMRI) / 拡散テンソル画像(DTI) / 動的因果モデル(DCM) / 左下前頭回 / 左縁上回 |
Research Abstract |
言語学で提案されてきた「併合」と「サーチ」という基本的な文法操作に基づいて、文構造の処理に関する新たな3つの仮説を提案した。 仮説I : 木構造のある領域内の分枝の最大の深さで定義される「併合度」によって、木構造の複雑さが適切に定量化される。 仮説II : ある言語表現(例えば文)の基本的な統辞構造は、「併合」と「サーチ」を生む機能要素(助詞や活用など)によって本質的に決定される。 仮説III : 「併合度領域」は、「併合」の再帰的適用、「サーチ」の距離、および課題の必要性によってダイナミックに変化する。 文法処理に選択的な左下前頭回の活動は、3つの仮説に基づく「併合度」によって説明可能であり、さらに、これらの仮説は文法処理に関係する先行研究の結果も説明可能であることを明らかにした。これらの成果は言語学の知見を神経科学の実験により検証したという点で重要である。以上の成果をFrontiers in Behavioral Neuroscience誌で発表した。 また、中米グアテマラの少数言語であるカクチケル語母語話者に対して、fMRI実験を実施した。最も単純な文構造を持つVOS語順と比べて、VSOやOVSなどの派生語順では左下前頭回の脳活動が増大することを明らかにした。現在、論文投稿に向けてさらなる解析を進めている。 さらに、脳腫瘍患者で脳活動が変化する14の領域が、どのようなネットワークを構成するのかを、健常者を対象に、領野間のMRI信号の偏相関を調べることで検証した。その結果、言語の文法処理を支える神経回路が3つ存在し、大脳の左右半球と小脳を含む広範なネットワークを形成することが初めて明らかとなった。また、これらの領野は解剖学的にも神経線維で連絡していることを、拡散テンソル画像法により確認した。以上の成果をBrain誌に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(18 results)