Project/Area Number |
12J09317
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Economic statistics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶 哲也 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2012: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 結婚サーチモデル / サーチ摩擦 / マッチング / 構造推定 |
Research Abstract |
本研究では、結婚市場におけるサーチ摩擦を考慮したモデルを用いて賃金および年齢に依存する結婚の価値を推定した。本研究には主に三つの意義がある。 一つ目は、新たな理論モデルを提唱し、これまでよく使われていたモデルの問題点を提唱したことである。動的サーチ・マッチングに関する理論的研究は目覚しい発展を遂げる一方、結婚の実証分析においてそのようなモデルはあまり活かされてこなかった。具体的にいえば、実証研究においては安定マッチングと呼ばれる静的で摩擦のない均衡概念がしばしば採用されていたのに対し、サーチ摩擦を考慮したモデルを採用したものはほとんど無かった。さらに、サーチ期間が有限であるという性質を考慮して結婚の時期に関する推論をしたものは皆無であった。そこで、本研究では結婚可能期間が有限であるという前提を明示的に組み込んだモデルを構築し,推定を行った。推定結果からは、サーチ摩擦が無視できないほどに大きいことを読み取ることができる。 二つ目は、推定方法に関する貢献である。結婚の意思決定に関する連立ベルマン方程式は解析的に解くことはできないものの、数値的には解くことができ、さらに唯一の解を持つことを縮小写像定理を用いて証明した。また、最尤推定法を用いることによって、サーチ摩擦も含めた変数群を識別できることを示した。 三つ目は、政策立案に対する知見である。伝統的には、晩婚化や非婚化といった結婚形成の変化の背景には、女性の教育水準や所得の変化が大きな意味を持つと考えられていた。しかし推定結果はむしろ男性の所得水準が決定的な影響を持つことを示しており、結婚を促進する上で男性の雇用や所得を維持することの重要性を改めて浮かび上がらせた。
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