ジャン=ジャック・ルソー『対話』の全四草稿をめぐる問題-1772年から初版まで-
Project/Area Number |
12J09329
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
土橋 友梨子 学習院大学, 文学部, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2012: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | ジャン=ジャック・ルソー / 『対話』 / 四草稿 / フランス / 起草の歴史 / 自伝的作品・論争的作品 |
Research Abstract |
本研究は、ジャン=ジャック・ルソー(1712-1778)の晩年の作品である「ルソー、ジャン=ジャックを裁く―対話』の起草から初版出版までの歴史を、この作品の四つの草稿(BNF草稿、ロンドン草稿、パリ草稿、ジュネーヴ草稿)を用いて明らかにすることを目的としている。 平成25年度は、『対話』の出版の歴史を明らかにするために、草稿を託された者たちによる『対話』の保管方法、編集、出版作業について調査を行った。まず、出版されなかったBNF草稿・パリ草稿について、その未出版の事情を検証した。次に、ルソーの死後に出版されたロンドン草稿(1780)およびジュネーヴ草稿(1782)の編集から出版までの過程を、書簡集や回想録の綿密な調査を通じて追うことで、両者の編者による編集方法の差異を明らかにした。ここでは、「いかなる編集方法が、ルソーの意志に忠実であるのか」ということが争点となった。 具体的には、ジュネーヴ草稿の編者が『対話』から人物名や危険思想を含む文章や注を削除した一方で、ロンドン草稿の編者は『対話』から一語たりとも削除せず、編集過程で生じる誤字・脱字に極力気を付けながら『対話』を出版したという点に着目し、編集方法は両者異なれども、ルソーの名誉の固守という目的は一致していることを示した。 特にロンドン草稿は、1. ルソーによって、三章あるうちの第一章しか託されず、部分的な草稿であること、2. ジュネーヴ草稿とは異なり、草稿から一語も削除されなかったことを理由に、これまで検討の対象になったことがなかったのだが、実は「無傷の作品だけが自己像を後世に正しく伝達し得る媒体である」というルソーの思想・自伝的戦略を見事に体現した重要な資料であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)