ウィルキー・コリンズの作品における語りと19世紀英国における自我表象の研究
Project/Area Number |
12J09868
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
英米・英語圏文学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 千暁 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2013: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2012: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | sensationalism / hositality / refugee / nationalism / republicanism / センセーショナリズム / フェミニズム / ウィルキー・コリンズ / メアリー・ブラッドン / 歓待 / 難民 / コスモポリタニズム |
Research Abstract |
本年度(前半 : 9月末まで)は研究計画通り、コリンズの1850年代の作品の分析を中心に行い、1859年にコリンズが発表した短編集The Queen of Heartsを中心に(将来的に二本の論文にまとめることを想定し)議論を進めた。この作品においてコリンズは独自に発表された個々の作品を繋ぎ合わせるべく外枠の物語を設け、巧妙に単一の物語の構築を目論んでいるが、それが出版直後に連載開始となる代表作『白衣の女』を技巧面で単に先取りするものではなく、個々の物語に散在する(ジェンダー、テクノロジー等に関する)テーマ的要素をそこに組み入れることで、テクスト間の共通性を見出そうとする作家自身の個人的取り組みであるという点について考察した。又、研究の過程で、この作品がHousehold Words以外の英国内の家族雑誌、米国の雑誌に投稿した短編を取り入れている点に注目し、初出版の際の個々のテクストと、短編集として一巻本形式で出版した際の版との間の比較を(英国内で発表済のものと米国で発表済のものとの相違に着目しつつ)行ったところ、英米両国の読者層の政治意識に配慮したものと思われる興味深い変更が為されていることが判明した。特に九つ目の短編"Brother Morgan's Story of A Plot in Private Life"においては、Josephineの国籍・人種がフランス人からクレオールに変更されている他、Mrs. Norcrossの私有財産に関する言及が消去されるなど、細かな変更が多数されており、これらの微調整が人種・ジェンダーの側面における英米双方の当時の政治的意識の差違を反映したものである点について議論した。また、リサーチの課程で、当初予定していた研究対象の二作品に加え、コリンズが1840年代末に執筆した歴史小説Antonina (1850)及び、伝記Memoirs of the Life of William Collins (1848)をも考察対象に加えることにし、若干の予定変更を行った。8月末現在実施しているこの二作品に関する考察においては、これまで両作品に対して為されてきた批評を整理しつつ、この二作品が父の死というコリンズ自身の伝記的背景が色濃く反映されたテクストであり、さらに西欧諸国における革命の時代の終結を見て取ったコリンズ独自の歴史観を提示したものであるという観点からテクスト分析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)