カーボンナノチューブにおける選択的分子認識の解明及びそれに基づいた高純度分離精製
Project/Area Number |
12J09888
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Nanostructural science
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳 鍾泰 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | カーボンナノチューブ / バンドル / クロマトグラフィー / 相互作用 / 選択的分子認識 / 外部溝 / コーティング / 多環芳香族分子 |
Research Abstract |
本研究ではカーボンナノチューブ(CNT)における選択的分子認識を解明し、CNTの高純度分離精製に向けて分子設計を行うことを目的としている。 まず、金属性単層カーボンナノチューブ(m-SWNT)と半導体性単層カーボンナノチューブ(s-SWNT)における選択的分子認識を調べた。アフィニティークロマトグラフィー法を用い、溶出時間に基づいて検体と固定相との相互作用を見積もる方法を参考に実験を行った。各m-SWNTとs-SWNTを固定相とする液体クロマトグラフィー(LC)用カラムを作製し、多環芳香族分子の溶出時間を調べ、各カラムから得られた多環芳香族分子の溶出パターンを比較し、選択的分子認識を分析した。各カラムから得られたクロマトグラムに差は見られたが、詳細なメカニズムに関しては現在考察中である。 一方、SWNTバンドル界面における選択的分子認識を調べた。SWNTバンドルに存在する外部溝はSWNT表面と比較し、分子がより安定に吸着できる特異的界面を与える。この界面における分子の吸着挙動を調べることは複合体デザインに向け興味深い知見を与えると期待できる。異なる濃度のSWNT可溶化溶液中に存在するSWNTはバンドル(凝集により束になった構造)程度が異なっており、シリカゲルにコーティングするとバンドル程度がフリージングされる。そこで、異なる濃度のSWNT可溶化溶液に等量のシリカゲルを加え、バンドル程度の大小を制御したSWNTコーティングを行った。薄い濃度でコーティングされたSWNTとシリカゲルの複合体(isolated-SWNT-silica)にはSWNTバンドルがほとんど見られないのに対し、濃い濃度でコーティングされた複合体(bundled-SWNT-silica)にはSWNTバンドルが多数見られ、バンドル程度を制御したSWNT-sillcaの作製ができた。 各SWNT-silicaを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の固定相として用いるため、空カラムに充填し、HPLC用カラムを作製した。SWNT-silicaをHPLC用カラムとして用いSWNTと検体との相互作用を分析する方法は簡便でかつ正確性があり、各バンドル状態における分子との相互作用を調べるにあたり、適切な方法である。検体は多環芳香族分子を用いた。 孤立分散したSWNTとバンドルしたSWNTを固定相とするカラムから得られたクロマトグラムから興味深い現象が見られた。p-Terpheny1以外は溶出順や溶出パターンが変化せずSWNT量に従い溶出時間が全体的にシフトする傾向が見られたことに対し、p-terphenylはSWNTバンドルが多い場合に他分子のシフトよりも大きく溶出時間が遅くなった。 上記の結果からSWNTバンドル界面がp-terpheny1を選択的に認識することが示唆された。外部溝はSWNT間に存在する1次元性吸着サイトであるため、1次元性分子への選択性が強く現れたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題だけに限らず、データを解析する際に見つけた興味深い現象をシステマチックに分析し、論文としてまとめることができたので、期待以上に研究が進展したと思われる。カーボンナノチューブバンドルに存在する特異的界面(外部溝)において細長い芳香族分子が選択的に相互作用する現象を発見しており、外部溝における特異的相互作用を液相で分析したのは初めてである。この成果はカーボンナノチューブ-分子複合体のデザインに有用であると思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)