Project/Area Number |
12J10055
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(実験)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
風間 慎吾 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 超対称性 / LHC / ATLAS / 余剰次元 |
Research Abstract |
ヒッグス粒子が発見され、遂に標準理論は完成した。しかし、標準理論の枠組みではヒッグス粒子の質量は輻射補正を受け2次発散するため、この発見自体がヒッグス質量を安定化する新しい物理の存在を強く示唆している。超対称性理論はこれを説明する最も有望な理論であり、申請者は、LHC-ATLAS実験に参加し、特に、超対称性の破れが超共形不変性の量子異常の効果により起こる模型(AMSB模型)の検証を行った。AMSB模型では、最軽量ニュートラリーノとチャージーノの質量が非常に縮退し、チャージーノは長寿命(~0.2ns, cτ~6cm)となる。チャージーノは、運動量の低い荷電パイオンと検出器と相互作用しないニュートラリーノに崩壊するため、ATLAS実験の内部飛跡検出器では途中からヒットが無く、消失したかの様な飛跡として観測され、非常に特徴的な信号を形成する。申請者は、チャージーノの発見に向けて二つの大きな改善を行った。一つ目は、チャージーノ事象のトリガー効率の向上、二つ目は、チャージーノの飛跡再構成効率の向上である。ジェットと消失運動量の角度相関を用いたトポロジカルなトリガーの開発を行い、オンラインでのQCD事象の選択的な排除に成功し、約3倍高いトリガー効率を達成することに成功した。飛跡再構成効率の改善のためには、よりビーム衝突点に近い検出器を用いた、ヒット数の少ない新しい飛跡再構成方法の開発を行った。その結果、チャージーノの飛跡再構成効率として、従来よりも約0 (10-100)倍高い効率を達成する事に成功した。これら二つの改善点により、従来よりも約100倍高いのシグナル効率を達成する事が可能となり、LHCにおけるチャージーノ探索の基盤を形成した。残念ながら、チャージーノの発見には至らなかったが、AMSB模型に対する制限を計算した結果、95%の信頼度で質量が270GeV以下のチャージーノを棄却し、これまでの加速器実験の制限を約200GeV超えた、世界で最も厳しい制限を与えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、チャージーノの飛跡再構成方法として、新しい方法の開発をすることに成功した。その結果、チャージーノの質量に対して、これまでの加速器実験の制限を約200GeV超えた世界で最も厳しい制限を与えることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ATLAS実験は重心系エネルギー14TeVでの実験開始に向けて、新しいピクセル検出器をさらにもう一層導入する予定である。この検出器と現在使用されている三層のピクセル検出器を用いることで、現在よりもビーム衝突点に近い検出器のみを用いた新しい飛跡再構成方法の確立が可能であると期待される。この方法を用いることで、積分ルミノシティー約100fb^<-1>の実験データで質量約500GeVのチャージーノの発見を行う。
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